横浜開港資料館

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What's New「ミニ展示コーナー」

2023年度

関東大震災を伝える―災害情報の形成と展開―

【会期】2023(令和5)年5月26日(金)〜8月25日(金)
【会場】横浜開港資料館新館2階 ミニ展示コーナー

写真は被写体の情報を見る人に伝えます。1923(大正12)年9月1日、関東大震災が発生し、横浜市は壊滅的な打撃を受けました。国際的な貿易港としての機能は失われ、犠牲者の数も推定2万6623人に上ります。そうした悲惨な状況を撮影した写真、さらにそこから生み出された絵葉書は今日も数多く残っており、100年前の様子を現在に伝えています。ただし、撮影者の特定できる写真は少なく、いつ、どこで、何のために撮影したのか、それらが判然とする写真はほとんどありません。また、伝播の過程で加工が加えられた写真や、誤った情報で伝えられた写真も多く、批判的な検証作業も必要不可欠です。本展示では、地震発生後、東京の通信社が関西方面へ配信した災害写真や、絵葉書の作成、加工の痕跡から災害情報の拡大過程の一端を紹介します。

図1 横浜 神奈川県庁と税関焼失の光景 1923(大正12)年 当館蔵
シリーズ「大正12.9.1 横浜大震災」の1枚。横浜中央電話局新庁舎から日本大通り、神奈川県庁や新港埠頭方面を撮影している。神奈川県庁は赤々と燃え、新港埠頭は煙に包まれているが、日本大通りには、平然と歩く人影も確認できる。この絵葉書は被災地の写真に炎を書き加えた上で、着色したものである。当初、関東大震災関係の絵葉書は飛ぶように売れたが、人々の関心の低下とともに、次第に過剰な演出がなされていった。
図1 横浜 神奈川県庁と税関焼失の光景 1923(大正12)年 当館蔵
図2 横浜 神奈川県庁ト税関 1923(大正12)年 当館蔵
シリーズ「大震大火災実況(大正十二年九月一日)」の1枚。写真右側の焼跡はイギリス総領事館(現・横浜開港資料館)、日本大通りの反対側に外壁だけを残した神奈川県庁舎が確認できる。また、破壊された横浜税関の先には、崩れた象の鼻防波堤も写っている。新港埠頭では、赤レンガ倉庫や発電所等の建物も健在である。この写真は図1の原本で、2つの資料を比較すると、加工が加えられた部分がわかる。
図2 横浜 神奈川県庁ト税関 1923(大正12)年 当館蔵

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