横浜開港資料館

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What's New「ミニ展示コーナー」

2022年度

継承されてきた本たち―ブルーム・コレクションより―

会期:2023年2月24日(金)〜5月25日(木)

横浜は、安政6年(1859)の開港以降、世界に向かって開かれた地であり、外国人居留地が明治32年(1899)まで存在しました。この横浜の山手居留地で生まれたのが、ポール・チャールズ・ブルーム(1898-1981)氏です。彼は日本関係資料の蒐集家でした。彼が生涯を通じて蒐集した資料は書籍や古地図など7000点にのぼり、そのコレクションはブルーム・コレクションと呼ばれ、ここ横浜開港資料館に所蔵されています。

本コレクションの中心となる書籍の特色は、古書の一級品といわれる稀覯本を一個人のコレクションとして幅広く揃えている点にあります。しかし、古書であるが故に損傷の激しい本もあり、当館ではこうした古書群を保存・活用していくために修復を行ってきました。

本ミニ展示では膨大なブルーム・コレクションのなかから、幕末期の日本関係の貴重な書籍を展示しつつ、修復によってよみがえった資料を紹介します。これからもこの貴重なコレクションを保存し、後世に継承していくための当館の取り組みについて知っていただければ幸いです。

J.C. Hepburn, A Japanese and English Dictionary, Shanghai, 1867.
ヘボン『和英語林集成』上海(1867年)

著者ヘボンから駐日イギリス公使パークスへの献辞が記されている。
J.C. Hepburn, A Japanese and English Dictionary, Shanghai, 1867. ヘボン『和英語林集成』上海(1867年)

新発見! 江戸城の手書き絵図

会期:2022年11月25日(金)〜2023年2月23日(木)

当館では2020年度、市内在住の田村邦男氏より江戸城の御殿絵図が含まれる資料群の寄託を受け、内容の調査研究を進めてきました。その結果、絵図2枚が天保後期(1840年前後)に制作された江戸城西丸御殿の絵図であることが判明しました。

江戸城の西丸御殿とは将軍の世継ぎや将軍を退任したいわゆる「大御所」が居住する御殿です。絵図は西丸御殿のうち「中奥」と呼ばれる主人(世継ぎ等)が日常生活を送る場所をおもにあらわしていますが、1枚は現場の大工が描いたものと思われ、設計の変更部分が懸紙(大きな付箋)で示されています。もう1枚はその清書図で、こちらには「表」(執務空間)もあわせて描かれています。のちに13代将軍となる徳川家定が西丸に移るタイミングでおこなわれた改修工事の内容を示したものと推測されます。

くわえて、資料群には江戸城全体の工事分担を示した図(図1)や建築部材のイラストなども含まれていました。スペースの関係上、主要な絵図面はパネル展示となりますが、江戸時代後期の江戸城の姿を描いたこの貴重な資料群をこの機会にぜひご覧いただければと思います。なお、本絵図の分析にあたっては東京都公文書館の小粥(おがい)祐子(まさこ)氏から多大な教示を得ました。田村邦男氏と小粥祐子氏に心よりお礼を申し上げます。

図1 〔江戸城普請受持図〕田村邦男氏寄託、当館保管
図1 〔江戸城普請受持図〕田村邦男氏寄託、当館保管

鉄道開業150周年
鉄道技師の関東大震災
―木村義麿旧蔵資料を中心に―

【会期】2022(令和4)年8月26日(金)〜11月24日(木)

今年、2022(令和4)年は1872(明治5)年の鉄道開業から150年目の節目の年にあたります。日本の鉄道150年の歴史は決して平坦なものではなく、様々な苦難がありました。その一つが1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災です。神奈川県を震源とするマグニチュード7.9の大地震(関東地震)は、大地を大きく揺らしただけでなく、同時多発的な火災を引き起こし、東京市や横浜市に壊滅的な打撃を与えました。鉄道の被害も大きく、線路や橋梁、トンネルは各所で破壊され、駅舎等の施設も倒潰、焼失しました。東西を結ぶ日本の大動脈である東海道本線も寸断され、人の流れだけでなく、物流も停止します。

全国の鉄道を管理、運営する鉄道省は、全国の鉄道局から技術職員(技師・技手)を集め、鉄道網の早期復旧をめざしていきます。被災地の鉄道網は1923年末までに応急的に復旧しますが、橋梁やトンネルの復旧には時間を要しました。特に震源に近い東海道本線、熱海線の被害は大きく、復旧工事は1925年まで続きました。その工事関係者の一人が神戸鉄道局の技手(後に技師に昇格)だった木村義麿です。震災後、木村は東海道本線及び熱海線の工事を担当する国府津改良事務所に所属し、馬入川橋梁や白糸川橋梁の復旧に従事します。そして自らが関係した工事関係の写真(鉄道省写真技師の撮影)を整理、保管し、現在に残してきました。今回は木村義麿旧蔵資料から鉄道の復旧工事の様子を紹介します。

熱海線の復旧工事に従事する鉄道省職員 1924(大正13)年6月9日
木村義麿旧蔵資料 当館蔵

後列左端が木村義麿、その右側は国府津改良事務所技師の池田晋。前列は左端から加賀山学(国府津改良事務所長)、黒河内四郎(鉄道省工務局保線課長)、青山秀雄(国府津改良事務所技師)、吉原美作(同)、長屋修(国府津保線事務所長)、大石大助(同技師)。
熱海線の復旧工事に従事する鉄道省職員 1924(大正13)年6月9日 木村義麿旧蔵資料 当館蔵

横浜海岸教会 誕生から150年

【会期】2022(令和4)年5月27日(金)〜 8月25日(木)
  前期「教会の誕生と発展」:5月27日(金)〜 7月3日(日)
  後期「震災からの復興」:7月5日(火)〜8月25日(木)
【会場】新館2階 ミニ展示コーナー

今から150年前の1872(明治5)年3月10日、改革派の宣教師バラから受洗した11人の信徒によって、日本最初のプロテスタント教会である日本基督公会、現在の横浜海岸教会が創設されました。日本基督公会は、居留地167番地(現在の教会所在地)に建てられた会堂を拠点に、その後のプロテスタント伝道の中心となる人物を多く輩出しました。

明治期の会堂は、1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災で倒壊しますが、その後の仮会堂の時代を経て、1933(昭和8)年に現在の会堂が献堂されました。会堂は1945(昭和20)年の横浜大空襲を乗り越えて、現在に至っています。1989(平成元)年には、横浜市認定歴史的建造物となりました。

本展示では、2015(平成27)年に横浜海岸教会から寄託された資料を中心に、(1)教会草創期(2)震災復興期、の2つの時期の教会の活動を紹介します。

明治期の会堂(左) 震災後に再建された現在の会堂(右)
復興記念横浜大博覧会記念絵葉書(1935年)より
横浜海岸教会所蔵・当館保管
明治期の会堂震災後に再建された現在の会堂

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