横浜開港資料館

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「開港のひろば」第101号
2008(平成20)年7月30日発行

表紙画像

特別資料コーナー
春鴻の短冊三点 石井光太郎文庫から

春鴻は、享保18年(1733年)、相模国鎌倉郡下飯田村(現横浜市泉区下飯田町)に生まれた江戸中期の相模を代表する俳人の一人です。本名は美濃口源吾次(みのぐちげんごじ)、別号を春江(しゅんこう)・露柱庵(ろちゅうあん)とも称しました。最初露柱庵鳥酔(ろちゅうあんちょうすい)に入門し、鳥酔没後は、同門の烏明(うめい)に従いましたが、同門の白雄(しらお)が江戸に春秋庵(しゅんじゅうあん)を開いてからは、師鳥酔の旧号露柱庵を嗣号(じごう)し、白雄の八大弟子の一人として活躍しました。その作風は、「高雅で清新」といわれています。

石井光太郎氏は、武藏・相模の文芸を研究するなかで、春鴻の研究にも取り組み、『露柱庵春鴻句集』(石井光太郎編刊 1959年)を刊行する一方、春鴻に関する資料も収集しました。ここでは、当館所蔵石井光太郎文庫から、春鴻の短冊を紹介します。

なおここで紹介する資料は、9月下旬から、特別資料コーナーで展示いたします。そこには春鴻の師鳥酔が点をつけたと思われ、春鴻の句も入集している点取帖も出陳いたします。江戸中期、相模・武蔵の文人たちの交流の様子が偲ばれる貴重な資料です。

(石崎康子)
















磯の月すさまじくなりてもどりけり












つま雁のさそへる葦か磯のやみ










節かはり雨も降なり残る雪

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