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「開港のひろば」第101号
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企画展
「白船来航」
米国大西洋艦隊を迎えた人・街・メディア
幸いに負傷者無く
10月19日、スペリー提督と将校ら一行は新橋駅に到着、米国国歌を歌う小学生に迎えられた。東京では、皇居での天皇謁見、海軍大将東郷平八郎主催園遊会(新宿御苑)、岩崎久弥主催晩餐会(深川岩崎邸)、東京市長歓迎会(上野精養軒)、東京市歓迎会(日比谷公園)などが催された。
新橋や銀座の通りも提灯や国旗で飾られ、毎夜大混雑をきわめた。図2は花電車が走る新橋の風景をとらえた絵葉書だ。日露戦争以後の絵葉書ブームもあり、こうした記念絵葉書が大量に作られた。
18日午前6時、逓信省発行の記念絵葉書の販売が始まった。江戸橋の東京郵便局には、前々日から絵葉書を求める人々で長蛇の列ができた。日露戦争の記念絵葉書が発売された際には、負傷者・卒倒者が出る騒ぎが起きた郵便局もあった。今回は「幸いに負傷者は無く平穏」(『東京朝日新聞』明治41年10月19日)であったが、人々の熱狂ぶりの一端がうかがえる。
日米あわや開戦かと騒がれた欧米メディアの論調を大きく裏切り、横浜と東京では、白船は政府だけでなく、市民レベルの大歓待を受けたのである。
(伊藤泉美)