横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第103号
2009(平成21)年1月28日発行

表紙画像

企画展
神奈川宿 成仏寺のヘボンたち
−貴重な写真発見される!−

本覚寺

この度、幕末の神奈川を写したステレオ写真が2点発見された。写真の隅にドイツ語で「神奈川のアメリカ領事館(Amerikanischer Consulat in Kanagawa)」と記された資料3と、「神奈川のアメリカ・プロテスタント宣教師(Ameri.protest.Mission zu Kanagawa)」と記された資料4である。資料4には、瓦葺きの寺院と思われる建物の前に、男女9名が写っている。

資料3 神奈川のアメリカ領事館
渡邊戊申(株)の寄付により購入 横浜開港資料館所蔵
神奈川のアメリカ領事館
資料4 神奈川のアメリカ・プロテスタント宣教師
渡邊戊申(株)の寄付により購入 横浜開港資料館所蔵
神奈川のアメリカ・プロテスタント宣教師

開港後、神奈川に各国領事館が設けられたが、アメリカ領事館がおかれたのは本覚寺であった。1834(天保5)年から1836(同7)年に刊行された『江戸名所図会』には、「神奈川総図」と題して本覚寺が記されている(資料5)。そこには、東海道沿いにある総門を入って階段を登ると中門があり、中門の正面には茅葺きの屋根の本堂、本堂に向かって右に庫裡があり、本堂の左手前には木が1本あり、寺院全体が木々で囲まれている本覚寺の様子が記されている。

資料5 本覚寺
『江戸名所図会(えどめいしょずえ)』第5巻 横浜開港資料館所蔵
本覚寺

資料3資料5を比べてみると、資料3は本堂をほぼ正面から写しており、資料5は本堂を斜めから描いている違いはあるが、茅葺きの屋根、本堂入り口上の庇などよく似ている。資料3は、アメリカ領事館のあった本覚寺を写したものと考えてよいであろう。

そして資料2資料3を比べてみると、茅葺きの屋根、本堂入り口の上の庇、本堂に入る階段とそこに至る石畳、本堂に向かって左の樹木と、極めて類似していることが分かる。従来成仏寺といわれていた写真(資料2)は、本覚寺を写したものと考えられる。

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