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館報「開港のひろば」バックナンバー


『横浜案内附横浜明細図入』初版

 鈴木金輔編 1905(明治38)年 金真堂(鈴木金輔)刊 19cm 3・56頁【五味文庫1―27(1)】

  編者で発行者の鈴木金輔(金真堂)は、「東京地本彫画営業組合規約改正願ノ件 9月9日」(東京都公文書館所蔵「庶政要録 第40 明治24年自9月至12月」)に添付された8月7日付けの組合員名簿に、「京橋区本材木町三丁目二十六番地 鈴木金輔」とあり、地本類を扱う小規模な出版者であったと思われる。鈴木は、『帝国偉業美談』(鈴木金輔編刊 1894年)など、講談本を多く出版している。また『探偵実話 大悪僧』(埋木庵著 鈴木金輔編刊 1896年)・『探偵実話 蝮のお政』(伊原俊郎(青々園)ほか序 鈴木金輔編刊 1898・99年)など、都新聞紙上で連載された探偵小説の刊行を多く手がけている。1899(明治32)年元日から都新聞に連載された伊原の「近世実話 五寸釘寅吉」は、伊井蓉峰一座によって横浜の羽衣座や東京浅草座で上演されるほど好評であったという。新聞連載に加筆し、鈴木金輔が編集・刊行した『探偵実話 五寸釘寅吉』(1899年)の序には、伊原俊郎と思われる編者が、「五寸釘の物語も幸ひに世間の好評を得て未だ大団円のトンと叩き仕舞ぬ先から例の銭儲には抜目のない金槙堂の主人が是非1冊に纏めし出版したしと言う」と記している。鈴木が都新聞関係者と親交があったことを伺わせるが、詳細は不明である。

  本書には巻頭に折込の付図「横浜明細新図」が1枚掲載されており、そこには本書が刊行される前年の1904(明治37)年7月に神奈川停車場前から大江橋(桜木町)まで開通した横浜電気鉄道の路線が記載されている。


『横浜案内附横浜明細図入』再版

 鈴木金輔編 1907(明治40)年 金真堂(鈴木金輔)刊 19cm 2・52頁【五味文庫1―27(2)】

  初版の刊行から2年後、再版が出版された。初版と再版を比較すると、いくつか訂正の加えられた箇所がある。例えば「知名の旅舎」の項で紹介されている旅館名は、初版では住吉町・真砂町といった町毎に紹介されているのに対して、再版では地域を関内・関外・神奈川に区分し、各地域内の旅館をそのイロハ順に紹介している。より検索しやすい構成に変えたものと思われる。また遊廓・飲食店・料理店・劇場・寄席の各項で紹介されている軒数には、増減がある。

「開港のひろば」第87号
2005(平成17)年2月2日発行

企画展
100年前の横浜ウォーキング
ー『横浜案内』の世界ー
企画展
案内記あれこれ

『横浜案内』
『横浜名所図会』
『横浜案内附横浜明細図入』再版
『京浜遊覧案内』
展示余話
「リバーサイドヒストリー 鶴見川
−幕末から昭和初期まで−」展
鶴見川中流域における鉄道敷設問題
−武蔵電気鉄道の敷設をめぐって−
資料よもやま話1
渡辺修二郎の横浜史料(上)

「横浜村並近傍之図」の作者
「朶撫流」は渡辺修二郎か
渡辺の著作活動
資料よもやま話2
新聞小政と動物園

閲覧室から
新聞万華鏡(18)
新聞広告と代理店
資料館だより

 さらに初版の「亀の橋平沼間の馬車」賃金、「鉄の橋横須賀間汽船賃金」等汽船賃金の案内、「横浜神奈川間電気鉄道」賃金、「横浜市内市外電話料」の各項目が、再版では削除されている。これには、横浜電気鉄道の市内敷設が進んだことが関係していると思われる。横浜電気鉄道は、前述のように1904年に神奈川―大江橋間を開通させ、その後、再版の刊行される1907年3月までに、大江橋―西の橋間、尾上町5丁目―花園橋間と馬車道―住吉町1丁目間を開通させた。横浜電気鉄道の関内地域への路線延長により、市内の主要交通手段が馬車から電車へ移行し、また東京から横浜への交通手段も、汽車または電車(京浜電気鉄道)を利用し、横浜電気鉄道に乗り換える方法が一般的となったため、利用者の減少した馬車や汽船についての利用案内は、再版時に削除されたものと考えられる。

  なお再版にも初版同様「横浜明細新図」が収録されている。この付図には、再版時に敷設されていた横浜電気鉄道の路線が、全て追加されている。





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最終更新日2006年8月20日  Last updated on Aug 20, 2006.
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