企画展
「ある知日家アメリカ人と昭和の日本
−ドン・ブラウン文庫1万点の世界」から
ドン・ブラウンは一般にはあまり知られていない人物である。しかしその周辺に目を向けると、著名人、あるいはその分野ではよく知られた人物がうかびあがってき、ブラウンのその時々の動きをうかがい知ることができる。
展示では、そのような人びとの中から十数名を選んで「ブラウンをめぐる人びと」として紹介したが、ここではその中の何人かをとりあげたい。
ドン・ブラウン文庫中の関係図書をおもな資料とした。書名の後に請求番号を付した。展示終了後、ご利用いただきたい。
J. C. グルー(Joseph C. Grew 1880〜1965)
グルー(Ten years in Japanのカバーから)

昭和16年の日米開戦時の駐日アメリカ大使。戦時下の昭和19(1944)年、ニューヨークで Ten years in Japan(『滞日十年』)[ブラウン文庫(原本)1312・(翻訳本・下巻)1313]を出版し、大きな反響をよんだ。昭和7年の赴任時から17年の離日までの10年間、グルーは詳細な日記を綴った。この日記をもとに書かれたのが本書である。
ブラウンの名前がこの『滞日十年』中に1カ所登場する。赴任間もない昭和7(1932)年7月22日の項である。
「フライシャアが、2週間軽井沢へ行くといって挨拶にきた。彼は私と新聞との連絡係なので、彼がいなくなることは淋しい。だが、彼は社員のドン・ブラウンが、毎日の記者会見で白鳥が何か面白い打あけ話をしたら、その時々に私に伝えるようにすると約束した。
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