明治初期の吉田新田
横浜の歴史を調べに当館閲覧室に来る市内の学生は少なくない。その最も多いテーマのひとつが、吉田新田である。吉田新田については、吉田勘兵衛家文書を使った石野瑛『横浜旧吉田新田の研究』(1936年刊)が詳しい。館蔵諸文書には、明治初期の吉田新田一ッ目沼地の埋立(蓬莱町ほか8か町の創設)について、その実行主体たる「埋立会社」の名入れのある罫紙に記された「吉田町地内沼地埋立之顛末調書」がある。内容は、明治7年から9年の、埋立会社から神奈川県にあてた願書を中心としたもので、基本的資料を写本によって編集した資料集である。本文書は、当館開館時に英学史家の故池田哲郎氏より寄贈されたもので、このような1点ものの貴重な文書も、館蔵諸文書のなかで公開されている。
「吉田町地内沼地埋立之顛末調書」

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「開港のひろば」第84号
2004(平成16)年4月28日発行

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