資料よもやま話2
横浜資料の宝庫−館蔵諸文書
横浜市は、1920年(大正9)に市史編集事業を開始し、戦前には未定稿の『横浜市史稿』(全11冊)を、戦後には『横浜歴史年表』(1951年刊)や原始〜関東大震災期までを扱った全34冊におよぶ『横浜市史』(1958〜82年刊)、昭和期を対象とした『横浜市史II』(1989〜2004年刊)を刊行してきた。横浜開港資料館は、1981年(昭和56)に『横浜市史』編集事業の成果を継承して開館し、『横浜市史』は翌年にそれ自体独立した1巻からなる「索引編」と「補巻」の2冊を刊行して終了している。
市史編集事業は長い時間とぼうだいな資料をもとに遂行されるが、当館には、戦前・戦後の市史編集事業のなかで収集された資料が収蔵されている。横浜絵・瓦版や古写真、芝居番付類や図書・雑誌などの類はいうまでもない。「五味亀太郎文庫」のように収集家が生前作成していた目録を前提として、復元が可能となったものもあれば、遺憾ながら長い年月をへて収集の経緯がつまびらかでなくなったものもある。当館ではとくに古文書や資料類については、開館後購入した1点〜数点単位の文書・資料とともに、「館蔵諸文書」として集約して一般公開している。ここでは、館蔵諸文書約800点のなかから、特徴的ないくつかを取りあげて、今後の利用の手引として紹介したい。
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