居留民の集会と請願
翌4日、火災の善後策を協議するためにケズィック(Keswick, William.英ジャーディン・マセソン商会)を議長とする外国人居留民の集会が開かれた。集会ではまず消火にあたった日本人への感謝決議が採択されている。
席上、エルムストーン(Elmstone, C. T. 英サッスーン商会)の提案により、恒久的な開港場として望ましいのが横浜か神奈川かを決議する場に切り換えられ、横浜を選択すべきことが満場一致で可決された。集会は五名の委員を指名して、居留民団の見解をまとめるとともに、公使団と交渉にあたるべきことを決議した。
翌5日、再び集会が開かれた。委員から横浜を選択する五箇条の理由書が提出され、満場一致で採択されたのち、集会の議事録に請願書を添えて各国公使に送付すべきことが議決された。請願書は翌6日の日付で起草され、28名が署名している。
これらの議事録や理由書・請願書は、開港場としての横浜の地位が確立するにあたって、決定的な重要性をもつものと思われるので、「横浜居留地の成立」(『横浜と上海』横浜開港資料館刊)という論稿で、原文を含めて詳しく紹介したことがある。関心のある方はご覧いただきたい。
請願書に対する英公使オールコックの回答は1月27日に届いた。神奈川での権利を留保すべきだとしつつ、神奈川への移住を強制することは控え、横浜での借地や家屋の建造を合法化するための便宜を与えるべきことが指令されている。居留民の請願は受け入れられたわけである。
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