HOME > 館報「開港のひろば」 > バックナンバー > 第133号 資料よもやま話 避暑地を選ぶ ―102年前の横浜貿易新報社「県下避暑十二勝新撰」〈3〉
「開港のひろば」第133号
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資料よもやま話
避暑地を選ぶ
―102年前の横浜貿易新報社「県下避暑十二勝新撰」
「避暑号」発行と避暑十二勝誌連載
7月12日には「避暑号」を発行し、新選避暑十二勝を紹介した(図3)。小島烏水が「夏と風景」の文章を寄せている。12勝のうち6勝が海景を主とし、他の6勝が山野渓流を主としていることにおいて、多くの海岸線と山野渓流を有する県下の地形に、住民の欲望が背反しなかったことが頷かれる。そして、新撰十二勝をその時、その場限りのものとして廃滅してしまうか、または永久に栄えたものとするかは、その自然を中心とし、その周囲に住まい、これを指示する人々の生活力の強弱の問題により決まってくると述べた。紙面には、「祝県下避暑十二勝地当選」の広告も多数掲載されている。
その後の紙面では、今泉、平山、田名、茅ヶ崎、半原など、いくつかの勝地が開いた当選祝賀会の様子を写真入で伝えている。なかでも、半原では「半原十二勝」を新たに選定し、絵葉書を発行する計画もあると書かれている。さらに、7月14日から31日まで、1ヵ所につき1〜2日をかけて半面以上を使い、選外を含めて紹介記事「新撰十二勝誌」を連載した。続けて、8月1日から22日まで「新十二勝誌続」を掲載した。