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「開港のひろば」第110号
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資料よもやま話
APEC Japan 2010 in Yokohama 開催記念
館蔵絵葉書に見るアジア太平洋地域の諸都市
移民が結ぶ都市
太平洋航路を利用して、香港や広東から多くの中国人が、神戸、横浜、さらにバンクーバーやサンフランシスコ(図1)などに渡っていった。また横浜からは北米に向かう多くの日本人が乗船していった。
三重県出身の駒田常三郎は、1890年頃にサンフランシスコに渡り、日本料理店大黒屋と雑貨店駒田商店を開き、成功をおさめた。その後一時帰国し、横浜の長者町に本店を開き、サンフランシスコを支店として、食料品・雑貨の輸出を行った。駒田家は家族や友人の間でおびただしい数の絵葉書をやりとりしている。それらは実際、太平洋をいきかった絵葉書だが、当時の諸都市の姿を生き生きと伝えてくれる。
近代の横浜はアジア太平洋の諸都市と航路で密接に結ばれていた。今回のAPEC横浜を機に、この地域の結節点の一つとしての、横浜の歴史を振りかえることも大切だろう。
ここで紹介したアジア太平洋諸都市の絵葉書などを、10月下旬から当館特別資料コーナーで展示する予定です。
(伊藤泉美)
*絵葉書は図3をのぞいて駒田家文書。