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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第99号
2008(平成20)年1月30日発行

表紙画像
企画展
ハマの謎とき−地図でさぐる横浜150年
企画展
二つの謎をさぐる
−開港場建設と居留地整備に関わるエピソード−
新収資料紹介
新収資料コーナー(7)
ビッドルの名前入り軍扇の発見
資料館だより

展示余話
『実業之横浜』社主石渡道助のこと


【3】浜菱 『実業之横浜』13巻10号 大正5(1916)年10月 実業之横浜社(資料4)

資料4 「浜菱」 (石渡悠史氏蔵)
「浜菱」

  この「浜菱」は、『実業之横浜』13巻10号として、大正5(1916)年10月に発行された。

  「浜菱」は、当初年4回発行の予定だったが、実際は春と秋の2回に刊行されたようである。

  この号は秋季特別号で、小説、講談、落語、社会探訪などで構成されている。

  本文の前に40頁を超す広告が掲載されているが、石渡道助主幹の横浜文案社(資料5)や、実業之横浜社人事調査部の広告(資料6)もある。

資料5 横浜文案社広告
横浜文案社広告
資料6 実業之横浜社人事調査部広告
実業之横浜社人事調査部広告

  横浜文案社の所在地は、南太田町の実業之横浜社に隣接する番地になっている。広告の内容は、官公提出文、広告・書簡、論説・美文、定款・会則、会社目論見の文案、其他筆紙上一切の事務を、費用寡少、迅速に応需するとしている。

  実業之横浜社人事調査部の広告には、「実業家の信用資産素行等秘密調査、民事・刑事・商事事件の調査及び証拠蒐集、婚姻に関する財産・身元其他の秘密調査、家出人・逃走人等又は携帯物の所在調査、学生雇人等の品行及び動作の調査監視、人の一挙一動の注視、其他一切秘密事件の捜査探偵、貸金の取立て又は催促、諸事件の整理・法律・衛生・諸般のご相談に応ず」とある。実業之横浜社は、このように探偵社のような仕事も行っていたのだろうか。

  『実業之横浜』を継続して刊行するには、購読料、広告料に加えて、資金を得るためにさまざまな事業を展開する必要があったのかも知れない。

  おわりに

  ここに紹介した、企画展示に出品し、現在複製中の新収資料は、石渡道助のご子孫の石渡悠史氏よりご提供いただきました。

  悠史氏にご連絡するにあたり、石渡和彦氏のご助力を賜りました。

  また、祖父にあたる道助についても、貴重なお話をうかがうことができました。

  皆様に感謝いたします。

(上田由美)


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