横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第140号
2018(平成30)年4月27日発行

表紙画像

企画展
長崎で撮影された
William Gamble の写真 発見!

ギャンブルは、長崎での活版印刷術伝習の約4ヶ月間と、米国への帰国の際、2度日本に滞在している。帰国の経路は、長崎・兵庫を経由して横浜に到り、横浜から太平洋を越えて帰国するという経路であったが、この時ギャンブルが上海から横浜まで乗船したオレゴニア号は、1870年8月1日午前11時に長崎に入港し、翌日の2日午前2時には兵庫に向けて出航している(The Hiogo News、1870年8月6日号)。この短い長崎滞在中に、当時は自然光で撮影するため、昼間に撮影する必要があったが、上野彦馬の写真館に総勢18名が集い撮影したとも考えられなくはない。しかし、ギャンブルが長崎に滞在した1869年11月末から、上海に戻る1870年4月2日以前に撮影されたと考えるほうが自然であろう。

今回紹介する写真は、ギャンブルが長崎に滞在した際に撮影されたと考えられる写真であり、長崎滞在時の姿を今日に伝える貴重な写真である。まさに日本の活版印刷史の夜明けを象徴する写真であるといえよう。この写真の所在が確認されたことにより、従来文献資料のみで伝えられてきたギャンブルの長崎滞在が、より具体的になった。LCのギャンブル・コレクションは、公開されている。今回の筆者の調査は、目録点数427点のうちの一部を調査したに過ぎない。今後調査が進められ、新たな資料が確認されることを期待したい。

(石崎康子)

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