横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第140号
2018(平成30)年4月27日発行

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ミニ展示
瓦版にみる安政六年の横浜開港

5月8日から6月30日まで開催する次回のミニ展示では、期間中の6月2日が開港記念日・当館開館記念日であることにちなみ、安政6年(1859)の横浜開港を扱った瓦版を展示します。今回はその内、「五ケ国御貿易場」について取りあげます。

安政6年(1859)3月 五ケ国貿易場 当館所蔵
安政6年(1859)3月 五ケ国貿易場 当館所蔵

「五ケ国御貿易場」は右上に「安政六年未三月神奈川横浜・松前箱舘・肥前長崎三ケ所江交易御免被仰付候内、神奈川之図」と記されているように、「交易御免」の場所=開港場として横浜が開港することに伴って刊行された瓦版です。なお、表題の「御貿易場」は、横に振られたルビに「おんこうゑきば」とあるように、「ぼうえきば」ではなく「こうゑき」=交易になります。また、「五ケ国」とは前年の安政5年(1858)に通商条約を結んだ「亜墨利加(アメリカ)」「魯西亜(ロシア)」「英吉利(イギリス)」「仏蘭亜(フランス)」「阿蘭陀(オランダ)」になります。

「五ケ国御貿易場」に所収された情報としては、①開港場と周辺地域を対象とした色刷の絵図、②左上に配置された単色刷の「荷揚場全図」、③神奈川奉行・外国奉行や「武州本牧」「神奈川横浜」「大森羽根田」という近隣地域防備の担当大名、④上段に配置されている「御触書之写」2点とアメリカ船渡来より開港に至るまでの経緯を記した部分等をあげることができます。また、①では開港場横浜を中段に配置し、下段に江戸から開港場への陸路である東海道に沿い「羽根田」(羽田)〜神奈川宿までが、上段右手に「野毛浦」、左側には「本牧」が描かれています。なお、本来は「洲崎社」の右側に存在する「神奈川台」(台町)が左側に置かれているなど、実景とは齟齬する箇所も存在します。中央左側の「御運上所」が現在の神奈川県庁、「荷揚場」の両側に海へ突き出した二本の突堤の内、向かって左側のものは後に先端が屈曲した形となり、「象の鼻」と呼ばれるようになります。「荷揚場」の左に「異人屋鋪」とある一帯が横浜開港資料館の現在地になります。

(斉藤 司)

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