横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第129号
2015(平成27)年7月18日発行

表紙画像

資料よもやま話
平山煙火製造所の絵入り花火カタログ

平山煙火製造所カタログ1(図1)

図1 平山煙火製造所カタログ1
上段左から①・②・⑥、下段左から③・④・⑦
(①・③・⑥・⑦は小野氏寄託)
図1 平山煙火製造所カタログ1 上段左から①・②・⑥、下段左から③・④・⑦(①・③・⑥・⑦は小野氏寄託)

平山煙火製造所のカタログは2つの時期に分けられる。まず、平山甚太及び岩田茂穂が経営した明治10年代から30年代後半のものである。各カタログには打ち上げる際の注意事項とともに、当初は浮世絵を思わせる美しい木版の図版をのせ、次第に一覧性のあるコンパクトな形態になった。工場の配置図が掲載されたものもある。

『大日本横浜平山昼煙火全図』116頁 18×12p 図版115図 小野氏寄託
『大日本横浜平山夜煙火全図』116頁 18×12p 図版115図 当館所蔵(五味文庫)
Illustrated catalogue of daylight bomb shells 4・116頁 19×13p 図版100図(欠番あり)・エキストラ16図 当館所蔵(ブルーム・コレクション)
Illustrated catalogue of night bomb shells 4・112頁 19×13p 図版121図(欠番あり) 当館所蔵(ブルーム・コレクション)
Illustrated catalogue of daylight bomb shells 複製 12頁 図版100図(欠番あり)・エキストラ27図 原資料は横浜市中央図書館所蔵
Illustrated catalogue of night bomb shells 14頁 13×19p 図版170図(欠番あり) 小野氏寄託
Illustrated catalogue of garden & lawn pieces of the Hirayama Fireworks 40頁 17×12p 図版39図 小野氏寄託

この時期のカタログは、打ち上げ花火が①から⑥の6種類、庭花火などが⑦の1種類である。打ち上げ花火は昼夜とも3種類ずつであるが、装丁から①と②、③と④、⑤と⑥が同時期につくられたものだと考えられる。⑤と⑥は、岩田と平山の後継者の名前になっている

当初は図2のような和紙に色摺り木版の和装本で、①・②は右綴じ③・④以降は左綴じである。③は複数残されているが、同一のものが和紙と洋紙に印刷されており、⑤・⑥以後は洋紙に印刷するようになった。①から④までは1頁に1つの図、⑤・⑥は小型になり、1頁に最大15図を収録するようになる。

図2 夜花火図版(④の図版)
②を修正し、より具体的なイメージを再現している
図2 夜花火図版(④の図版) ②を修正し、より具体的なイメージを再現している

花火玉の大きさは、4インチから6インチである。昼夜とも番号がふられた100を超える図版を掲載し、その番号で注文を受けたのだろう。

③・④以降は、明治16(1883)年8月に平山が昼花火により米国特許を取得したことが記載されている。平山の昼花火は彩煙や国旗なども見られるが、特許を取得した鳥や人物・動物・魚・乗り物・建物といった袋物に特色が有る。

カタログの作成年は正確には分からないが、①・②は米国特許取得以前、③・④以降は明治21年10月に工場を蒔田へ移転した後のものである。③・④は何度も印刷されており、事務所の所在地が、太田町4丁目60番地、弁天通2丁目28番地(丸善の所在地)、水町通35番地とそれぞれ印刷されている。⑤・⑥は水町通である。事務所は明治38年に本町へ移転するので、それ以前に発行されたものだろう。

また、③・④の裏表紙には、販売代理店と地域を記載する欄が印刷されているが、実際に横浜市中央図書館所蔵の資料には、アメリカ・ニューヨークの販売代理店名が記載されている。

平山煙火製造所の花火は、打ち上げ花火だけではない。⑦は比較的小規模な、庭花火などのカタログである。表紙はカラーだが内容は黒地に白で描いた図版に、花火の説明と点火方法が書かれている。ロケット、スターマインなど現在でも馴染みのある花火も見られる。

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