横浜開港資料館

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「開港のひろば」第129号
2015(平成27)年7月18日発行

表紙画像

展示余話
1895年の山下居留地
The Japan Directoryの分析から

「異国の面影 横濱外国人居留地1895年」では、1895年に製作された山下居留地の火災保険地図(以下火保図と略す)を紹介した。

この火保図には、山下居留地内および日本大通りに所在した建物が詳細に示されている。また、建物の用途については、事務所Office、住居Dwelling House、倉庫Godownなどの注記がある。ただし、個別の建物の名称については、領事館などの官公庁、香港上海銀行やグランド・ホテルなどの主だったものだけに限られ、どのような業種の事業所がどこにあったのかまではわからない。

そこで本稿では、火保図の分析の一環として、The Japan Directoryをもとに山下居留地内の事業所の業種別分布などについて検討したい。The Japan Directoryは山下居留地の英字新聞社ジャパン・ガゼット社が発行していた在日外国人年鑑である。この年鑑は毎年1月頃に出版されたため、1895年の実態を反映するのは、1896年版である。

この年鑑の「横浜部分」に収録されている居留地1番地から277番地までの記載を分析した結果が、以下の通りである。

全記載数は804であるが、住居のうち、1つの住居に複数人が住んでいる場合は、住居の数は1つと数えた。なお、この年鑑には、欧米系の事業所等はほぼ網羅的に収録されているが、中国人、インド人、日本人関係については、その限りではない。

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