横浜開港資料館

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「開港のひろば」第129号
2015(平成27)年7月18日発行

表紙画像

展示余話
1895年の山下居留地
The Japan Directoryの分析から

全体的な状況

表1は全記載804を、その用途および所在場所で集計したものである。用途としては、事業所、住居、倉庫、官公庁、団体、不明、空き地に分類し、所在場所は図1の通り、山下居留地をAからFに分けて考えてみた。

表1 THE JAPAN DIRECTORY 1896年版の分析
用途 記載数 A地区 B地区 C地区 D地区 E地区 F地区
事業所 488 60.7 42 200 184 37 16 9
住居 209 26 21 79 46 24 27 12
倉庫 59 7.3 0 8 8 38 3 2
官公庁 17 2.1 1 4 2 2 0 8
団体 17 2.1 1 5 5 3 1 2
不明 10 1.3 0 1 8 0 0 1
空き地 4 0.5 0 0 1 3 0 0
合計 804 100 65 297 254 107 47 34
図1 山下居留地区分図
元図は「横浜外国人居留地火災保険地図」1895年 当館蔵
図1 山下居留地区分図 元図は「横浜外国人居留地火災保険地図」1895年 当館蔵

まず、全記載数804のうち、最多の488が事業所で、これは全体の60・7%をしめる。事業所とは、会社の事務所や店舗、ホテルなど、事業を営んでいると考えられるものである。住居については、事業所と兼用になっている場合も若干あるが、それらは事業所に分類した。住居の記載数は209で全体の26%、事業所と住居で全体の86・7%となる。倉庫の記載数は59で、内訳は一般倉庫が40、お茶場(お茶の再製場)が10、石炭置き場が8、木材置き場が1である。

官公庁17の内訳は、領事館関係が13と、加賀町警察署、居留地消防隊、横浜中央電話局、横浜市水道局である。

地区別特徴

A地区は山下居留地の一等地、港に面したプロムナードの海岸通り、B地区はメインストリートである本町通りを中心とした一帯で、C地区はいわゆる中華街である。事業所全体の半数近くの200がB地区にあり、C地区の184も加えると、この2つの地区で全体の8割近くとなる。

D地区は横浜公園と派大岡川と中華街地区に挟まれた一角で、倉庫の全記載数59のうち64%にあたる38がここに所在している。火保図でもこの地区には、倉庫やお茶場の印が多い。

E地区は堀川沿いの地番であるが、この地区の事業所16のうち、8が製造業で特に鉄工所が多い。F地区は日本大通り一帯であるが、官公庁の全記載数17のうち8がこの場所に所在する。

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