HOME > 館報「開港のひろば」 > バックナンバー > 第114号
「開港のひろば」第114号
|
開館30周年記念Part2
港都横浜
近代日本のナビゲーター
−資料がかたるその諸相
横浜開港資料館は、1981(昭和56)年6月に開館しました。当初の収蔵資料は約11万点で、将来16万点近くになることが想定されていました。しかし30年を経過した今日、収蔵資料は約25万点におよんでいます。
このような充実した資料を手にすることができた理由には、展示・研究のため、調査研究員が積極的に資料を調査・収集したこととともに、多くの市民や協力者が、父祖の代より引き継いできた資料を当館に、あるいは当館開設以前の横浜市に提供していただいたことが大きくあずかっています。今回開館30周年記念の第2弾展示でその収集成果をふりかえりたいと思います。
当館の収蔵資料は、時代的には広く、中世・近世から戦後昭和期にまでおよび、その全般を1、2回の展示で紹介するのは困難です。今回の記念展示は、貿易港・国際港として発展した横浜が、近代化日本のナビゲーター(先導役)として果たした役割を原資料で語らせることを目的としました。そのため、時代対象は一九世紀が中心となりました。
近代化の先導役、としての横浜の歴史的位置は、昭和63(1988)年の企画展示「横浜もののはじめ」のほか、さまざまな機会にとりあげてきました。これまでの展示は、原資料を展示するだけでなく、例えば大判の新聞紙面に見つけた重要だけど極く小さな記事を大きく複製して紹介するようなことも少なくありませんでした。そのことは横浜開港資料館が30年間にわたって培ってきた展示手法の一つですが、今回は原資料にこだわりました。大冊の写真帖や製本した新聞を壁面に掲示することはできませんから、プリントにかえた箇所などもありますが、基本は原資料展示です。
横浜開港資料館の「来し方」を資料をもってふりかえるとともに、これからも収蔵資料が一層充実するよう、努力してゆく所存です。引き続きご支援をいただければ幸いです。
(平野正裕)