横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第114号
2011(平成23)年10月26日発行

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展示余話
「横浜ノスタルジア」×「コクリコ坂から」連携プロジェクト
−アニメーションの発信力と歴史資料の底力−

10月23日で終了した「広瀬始親写真展 横浜ノスタルジア特別篇」は、「コクリコ坂からの時代を見る」をキャッチコピーとして展開した。

スタジオジブリの最新作「コクリコ坂から」は、昭和38年の横浜を舞台としたアニメーション映画である。企画展準備のさなか、横浜市がスタジオジブリおよびKDDIと連携して、「コクリコ坂から×KDDIキャンペーン@横浜市」(7月16日〜8月31日)を企画していることを知った。そこで、資料館はやや敷居が高いなと感じている方々にも、ジブリ映画を入口として気軽に足を運んでほしいと、このキャンペーンに参加することになった。以下その概要を報告する。

■多岐にわたる連携企画

(1)「横浜ノスタルジア展」広報物への映画名称とイラストの使用。企画展のポスター、リーフレット、外看板、また『広瀬始親写真集 横浜ノスタルジア』の宣伝用帯に、映画名称とイラストを使用した。この使用許諾については、(財)横浜観光コンベンション・ビューローと市文化観光局(4月以前は経済観光局)を通じてスタジオジブリの使用許諾を得た。この前提として、横浜市とスタジオジブリが締結した覚書がある。
 ポスター等へのイラスト使用にあたっては、歴史資料としての広瀬写真の趣を重視するデザインとした。なお、スタジオジブリが色校正の段階でチェックを行った。

(2)「コクリコ坂から」背景画展(主催:横浜市文化観光局・当館)の実施。当館旧館一階記念ホール(入場無料スペース)を会場に、映画公開日の7月16日から企画展最終日まで開催した。山下公園や桜木町駅など横浜を象徴する背景画八点を選び、あわせて広瀬写真の中から同じ場所の写真をパネル展示し、イラストと実写の両方で昭和30年代の理解をはかる工夫をした。来館者の感想でも、写真とイラストの両方でわかりやすかったとの声があった。また、ヤマハミュージックコミュニケーションズの協力を得て、映画主題歌「さよならの夏」のDVDを常時上映した。この中には、イラストと横浜都市発展記念館が所蔵する昭和30年代のニュース映像を織り交ぜたバージョンがあり、美しい音楽と相まって映像に見入る方々が多かった。

(3)「ヨコハマガイド(発行:KDDI、制作:スタジオジブリ、制作協力:岸川編集事務所、協力:横浜市等)への協力。映画の内容紹介と横浜散策地図をあわせたガイドブックが50万部発行された。広瀬写真の提供とともに、当館と横浜都市発展記念館が歴史関係等の記述を監修した。また、このガイドブックはスタンプラリーのシートも兼ねていたが、当館がスタンプポイントの一つとなり、中庭にスタンプ台を設置し、連日多くの参加者で賑わった。
 さらに「コクリコ坂から×KDDIキャンペーン@横浜市」では、スマートフォンを利用して、1960年代の写真や情報が楽しめるセカイカメラのサービスが提供されたが、これに広瀬写真の中から、山手の外国人墓地や中華街などの一七点を提供した。またNPO法人横浜シティガイド協会と連携し、映画と写真展のゆかりの場所を訪ね歩くツアーを実施した。

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