横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第109号
2010(平成22)年7月28日発行

表紙画像

資料よもやま話
東京神学大学図書館所蔵
『よろこばしきおとづれ』の複製本公開

体裁と内容

同誌は、創刊号[1号]から1878年2月号[15号]まで8頁、英語の巻号表示の始まるVol.2 No.16から12頁仕立てになる。12頁仕立ては、Vol.2 No.21が8頁であるほかは、63号まで変わらない。

『よろこばしきおとづれ』創刊号は、「クリスマスのこと」で始まる。同誌に掲載された記事の内容は、「聖書のはなし 幹約(よはね)(ママ 約翰が正しい)伝一章一より一四までの略解」[2号]といった聖書の解説、「わかき基督の徒にすすむる言」[2号]といった訓話、「支那人黄勝氏の履歴 Biography of Wong Shing」[4号]や「ガンジス河のこと The River Ganges」・「惑星のはなし Comets」[11号]といった人物や事物、科学関係の記事に関する翻訳記事、および賛美歌などである。

本紙の特徴として、同誌[15号]からVol.2 No.25まで、Vol.3 No.31・No.35・No.36、Vol.4 No.39の表紙には楽譜付きの賛美歌が掲載されている点を上げておきたい(写真2・3)。

横浜で刊行された最初の賛美歌『教のうた』は、明治7(1974)年に刊行されたが、歌詞のみで楽譜は掲載されていない。五線譜の楽譜が掲載された最初の賛美歌は、明治17(1884)年に刊行された『基督教聖歌集』であったが、本誌への賛美歌の掲載はその6年前に遡る。楽譜付き賛美歌集刊行の6年前に、日曜学校の雑誌に讃美歌が楽譜入りで掲載されていたことになる。

WUMSから派遣されたプライン(M.P.Pruyn)をはじめとする女性宣教師たちの多くは、共立女学校およびその前身のアメリカン・ミッション・ホームで音楽教育に力を注いだ。彼らが開設した日曜学校でも賛美歌は歌われていたが、『よろこばしきおとづれ』に賛美歌を掲載することで、日曜学校参加者への賛美歌の一層の普及を図ったものと思われる。同誌への楽譜付き賛美歌の掲載は、明治初頭の音楽教育、賛美歌の歴史のなかで、注目すべき出来事であった。

公開の内容

『よろこばしきおとずれ』は63号(明治15年2月号)で終刊となり、『喜の音』に引き継がれた。巻号表示を改め、『喜の音』は1巻1号から月刊誌として刊行され、その後月2回の刊行となった。24巻までの刊行が確認されている。

複製本では、『よろこばしきおとづれ』が[一号]から63号まで、『喜の音』については、1〜24号、37〜48号、109〜120号、127〜138号、140〜142号、337〜360号が収録されている(請求番号ZWC―ヨ162―1〜6)。閲覧室でご覧いただきたい。

(石崎康子)

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