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「開港のひろば」第106号
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特別資料コーナー
開港と近代歯科医学
横浜は、開港後初めて西洋歯科医学がもたらされた地です。横浜市中区の神奈川県歯科医師会「歯の博物館」では、歯に関する様々な資料を収集し、公開しています。今回、同博物館のご協力により、特別資料コーナーにて、11月3日(火)から12月23日(水)まで、「開港と近代歯科医学」展を開催します。約8週間の会期を4分し、4つのテーマで歯科医学近代化の歴史をたどります。
(1)江戸・明治時代の歯みがき(11月3日〜同15日)
江戸時代の人々は、房楊枝・小楊枝などを用い、歯みがきをしていました。ここでは浮世絵や当時使われた房楊枝・小楊枝・歯みがき粉などを展示し、歯ブラシや練り歯みがきが登場する以前の、人々の歯に対する関心や風俗をたどります。
(2)お歯黒(11月17日〜同29日)
開港後横浜に上陸した欧米人は、お歯黒の風俗に驚き、嫌悪の情を様々な書籍に書き綴っています。しかしお歯黒は虫歯予防に効果があったとも言われ、大正期まで日本各地で行われていました。ここではお歯黒に使われた道具や携帯用お歯黒などを展示します。
(3)歯痛(12月1日〜同13日)
古くから歯痛は人々を悩ませました。歯の痛みを治そうと、人々はまじないや社寺への祈願、民間療法など様々な方法を試みました。ここでは、歯痛をめぐる様々な資料を紹介します。
(4)近代西洋歯科医の登場(12月15日〜同23日)
開港後初めて横浜に上陸した歯科医は、米国人歯科医W・C・イーストレーキでした。彼については、来日の時期や経歴が不明でしたが、ここでは近年解明されてきた彼の履歴をもとに、近代歯科医学の伝来と普及の歴史をたどります。
なお開催にあたり、神奈川県歯科医師会「歯の博物館」および大野粛英、羽坂勇司の両氏より貴重な資料を借用させていただきます。記して謝意を表します。
(石崎康子)