資料よもやま話1
『禁酒会のおきて』
−南小柿洲吾関係史料から−
8月29日まで横浜都市発展記念館で開催中の「横浜・長崎 教会建築史紀行 祈りの空間をたずねて」(横浜都市発展記念館主催、横浜開港資料館・横浜ユーラシア文化館ほか共催)には、約130点の資料が出陳されています。その一つに、南小柿洲吾(みながきしゅうご)関係文書の1つ、明治9年(1876)9月29日付けの「御見聞願」(南小柿由巳子氏所蔵)があります。
南小柿洲吾(1845〜1917)は、「御見聞願」を提出した当時、横浜第一長老公会の長老であり、のちに同公会最初の日本人牧師となった人物です。彼は、明治9年9月11日、第二国立銀行所有の住吉町2丁目の土地を個人で借用しました(「横浜指路教会借地証他」東京女子大学比較文化研究所佐波文庫所蔵)。「御見聞願」は、同月29日、借用した土地に建物を建てるにあたり、第一大区一小区の正副戸長宛に見聞願いを提出したものです。南小柿が借用した土地に建てられた教会が、指路教会の前身である住吉町教会であり、この資料は、横浜における明治初期の教会成立の歴史を明らかにする資料の一つです。
南小柿洲吾
(南小柿柿由巳子氏所蔵)

南小柿洲吾関係文書には、このほかに約50点の資料があります。そこには、前述の「御見聞願」のほかにも、興味深い資料があります。横浜禁酒会についての資料もその一つです。
|