娯楽を仕掛ける者は、大小ある娯楽資本(資本といえない段階のものも含めて)であったり、メディアであったり、行政や経済界・諸団体であったりします。彼らは、横浜への「集客」をもくろみ、都市としての横浜を活性化させ、相互に影響しあって横浜の魅力を形成してきました。人々は芝居・映画を観に横浜に来たとしても、伊勢佐木町に展開する商店や、そこに集まる人々の息吹にふれて、劇場・映画館に入るまでにすでに心ときめかせてました。また芝居・映画の余韻も、日常生活から切り離された都市空間から帰るなかで、いよいよ増したものと思われます。
今回紹介する娯楽の数々は、戦後、生活様式の変化にともなって昔日の勢いを失いました。そして現代人の娯楽は多様化して、見えにくくなっている、というのが実状です。しかし、そのような今日でも、休日となると横浜には実に多くの人出があります。現代の横浜の何が人の心を惹きつけるのでしょうか。都市としての魅力はどのように形成されてきたのでしょう。この課題を考えるのも今回の展示の目的です。
近代横浜の「集客」をささえた、伊勢佐木・馬車道・弁天通りなどの盛り場・街やウォーターフロントの歴史、また独立した展示展開が可能な音楽の歴史については後日の課題としました。ご諒解いただけたら幸いです。
(平野正裕)
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