横浜開港資料館

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「開港のひろば」第135号
2017(平成29)年2月1日発行

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企画展
横浜史料調査委員会と史跡選定

横浜史料調査委員会の終焉

委員会の例会記録をまとめた「昭和九年二月例会記録 横浜史料調査委員会」には、昭和17年12月までの記録が収められており、活動が確認できる。しかし昭和18年3月には、前年に開館した市民博物館の博物館評議員会が設置され、委員会は評議員会に吸収されたという。

昭和22年1月庁達1号により、横浜市史料調査委員会の規定が設けられた。第2条に記された設置の目的には、「本会は横浜市に於ける史料を調査し、其の文化的伝統及び市民性の特質を明瞭にすると共に、愛市の精神を涵養し、且つ徹底させるを以て目的とする」とある。また第3条に記された事業内容の第1に「横浜市に於ける史料、史蹟、名勝、天然紀念物、国宝、重要美術品其他の調査及び研究」とあり、目的及び業務内容の一部は、委員会を引き継いだ組織であると思われる。しかし昭和17年に中山毎吉が、同19年に史跡選定の中心的メンバーであった加山道之助と栗原清一が、翌20年には弦間冬樹が死去したこと、また調査委員を学識経験者より選定する方針が立てられたことにより、調査員の顔ぶれは一新された。中山や加山、栗原、弦間といった郷土史家により支えられていた横浜市の市史編纂事業や史跡選定事業は、戦後転機をむかえることになる。

(石崎康子)

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