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「開港のひろば」第134号
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資料よもやま話
「メアリー・A・ルジェーリ・コレクションThe collection of Mary A. (Kiddie) Ruggieri」から
今夏から当館で複製での閲覧公開を始めた「メアリー・A・ルジェーリ・コレクション The collection of Mary A. (Kiddie) Ruggieri」を紹介しておきたい。
このコレクションは、1946(昭和21)年10月から48年4月にかけて、米陸軍婦人部隊(WAC)の下士官(Technical Sergeant)として市内中区のカマボコ兵舎に暮らしたメアリー・A・ルジェーリ(Mary A. (Kiddie) Ruggieri 1921-2013、以下メアリーと記す)が残した写真アルバム全9冊である。
コレクション入手(複写)
当館は2012年、大西比呂志氏(フェリス女学院大学)の仲介で、このコレクションをアメリカから借用しデジタル複写した。当時健在だった所蔵者のメアリーは、コレクションが日米間の友好を目的とする学術研究に活用されることを希望して当館での公開を快諾された。
コレクションとメアリーについては大西氏がすでに論文を発表している。コレクションとの出合いから、メアリーの経歴、WACの日本での活動、コレクションの歴史資料としての価値やその意義などについてまとめた「アメリカ女性下士官が撮した占領下の横浜 メアリー・ルジェーリ・コレクション」(『国際交流研究』第16号、フェリス女学院大学、2014年)である。詳細は大西論文に譲り、ここではメアリーの略歴とコレクションの概容紹介にとどめる。
メアリー・A・ルジェーリ
メアリーは1921年、サンフランシスコに生まれ、カリフォルニア大学バークレー校に学んだ。卒業後にWACに入隊し、46年10月、陸軍の輸送船で占領下の横浜に上陸し、部隊は米第八軍司令部の下に置かれた。来日当時は独身で、旧姓はキディー(Kiddie)といった。25歳であった。
Photograph by Mary A. (Kiddie) Ruggieri. From the collection of Mary A. (Kiddie) Ruggieri. Copyright 1946-2012, all right reserved.

1948年4月に任務を終えて帰国し除隊したメアリーは直に、横浜で知り合ったフランク・ルジェーリと結婚した。アルバムには横浜時代のフランクと一緒に写った写真が何枚も貼られていたりする。
メアリーはその後、アメリカ女性作家連盟等の会員となり、フィクション・ノンフィクション本や絵本を執筆した。いくつもの文学賞受賞歴を持つ。