横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第134号
2016(平成28)年10月28日発行

表紙画像

資料よもやま話
「メアリー・A・ルジェーリ・コレクションThe collection of Mary A. (Kiddie) Ruggieri」から

写真アルバム9冊の内容

メアリーは約1年半の横浜での生活や、旅行先の日本各地の風景・風俗を愛用のカメラで撮影した。この写真アルバム9冊には、その多くをメアリー本人が撮影したと考えられる約4000枚もの写真が収められている。アメリカ人女性の目に映った戦後間もない横浜の街や人びとの生活、カマボコ兵舎内の米軍兵士の生活などをとらえた貴重な記録写真である。とくにカマボコ兵舎内部やそこでの暮らしぶりをとらえた写真はめずらしい。メアリーたちWACのカマボコ兵舎は、中区万代町・不老町・翁町の宿舎地区(現在の横浜文化体育館周辺)にあった。

写真には撮影場所や日付などのメモ書きがあるものがかなりあり、加えてメアリー自身がこれらの写真と日本から家族に宛てた手紙をもとに2007年に刊行した回想録 From Japan with love 1946-1948, Portsmouth, 2007.(『日本より愛を込めて 1946〜1948年』)が、撮影年や場所の特定に役立った。

2014年春のパネル展示

閲覧公開に向けて準備を進める中、2014年4月から約1カ月間、当館記念ホールでパネル展示「戦後70年プレ展示 アメリカ女性下士官が撮した占領下の横浜―メアリー・ルジェーリ・コレクション― Occupation-era Yokohama photographed by a member of the U.S. Women's Army Corps ― The Collection of Technical Sergeant Mary A. Ruggieri」を開催した。

展示は、女性軍人が撮影した占領期横浜の初公開写真展として話題となった。ゴールデンウィークを挟んでいたこともあり、多数の来場者があった。多くのメディアにも取り上げられ米軍準機関紙『星条旗新聞』の取材も受けた。改めて占領期の横浜の歴史への関心の高さを知る機会となった。残念ながらメアリーは前年の2013年10月、92歳で亡くなった。

次頁では、膨大なコレクションのごく一部に過ぎないが、パネル展で紹介した写真の中から当時の市内の様子がわかるものを6点紹介する。

コレクションの公開に当たり、まず故メアリー・A・ルジェーリ氏に感謝を申し上げたい。また高齢の母親に代わってコレクションの輸送や公開の合意書作成等の実務を担ってくれた子息リチャード・ルジェーリ氏(Mr. Richard Ruggieri)、仲介者の大西氏、英文での合意書等書類作成を助けてくれた木原浩之氏(亜細亜大学)、その他関係者の皆様にも感謝を申し上げたい。

なお本稿および写真の説明文は、2014年のパネル展の解説文を引用したが、解説文作成にあたって羽田博昭氏(横浜市史資料室)と青木祐介氏(横浜都市発展記念館)の協力を得たことも記しておきたい。もちろん文責は筆者にある。

本コレクションの閲覧方法や複写(条件あり)については「メアリー・A・ルジェーリ・コレクション複製目録」(閲覧室備え付け)を読まれたい。

(中武香奈美)

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