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「開港のひろば」第125号
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資料よもやま話
関東大震災と東海道線
横浜駅とその周辺
東海道線や熱海線だけでなく、「関東大震災鉄道復旧工事写真帳」Bには、横浜駅を写した写真が6枚、子安(現・神奈川区)附近の横浜線を写した写真が3枚、横浜臨港線を写した写真が3枚収められている。このうちいくつかは『国有鉄道震災誌』に収録されているが、横浜の写真家たちが撮影したものとは大きく異なっている。
横浜駅の写真は主に構内の状況を撮影したもので、火災によって焼けた内部の様子が窺える。また、図5の写真のように、線路の復旧過程も捉えている。この写真は現在の京急子安駅(神奈川区)周辺の様子で、高架の路線が小机方面にむかう横浜線、その下を通るのが東海道線である。木材によって仮の橋脚が組まれている様子がわかる。この他にも工事の様子を捉えた写真が多くあり、県内の鉄道復旧の過程を伝えている。
そうした内容から写真は鉄道省の写真技師が記録用に撮影したものだと推察できる。他の資料と組み合わせることで、震災の状況を視覚的に提示できる。今後の活用にむけてさらに調査を続けたい。
(吉田律人)