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「開港のひろば」第124号
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資料よもやま話
平山煙火製造所と小野家資料
万国博覧会
資料には、明治期から大正期にかけて発行された、10種類の平山煙火の花火カタログがある。なかには、アメリカの特許を得たことや明治37(1904)年のセントルイス万国博覧会で金メダルを受賞したことが書かれ、大正4(1915)年パナマ太平洋博覧会で金メダルを受賞した旨のスタンプを押したものも見られる。
パナマ太平洋博覧会は、パナマ運河の開通を祝して大正4年2月20日から12月4日までサンフランシスコで開催された。『巴奈馬太平洋万国博覧会神奈川県出品協会事務報告』(巴奈馬太平洋万国博覧会神奈川県出品協会、大正5年)によれば、神奈川県下の代表的な出品物48種類の一つに選ばれて、小野よしが「煙火」5点を出品した(図4)。その結果、金牌受賞者17名の1人となった。
さらに「沿革及履歴」によれば、この時打ち上げられた花火は、シアトルのヒット煙火会社を請負名義人として、平山煙火が担当した。実際の花火と金メダル受賞という二重の宣伝効果を得られた博覧会であった。
おわりに
打ち上げられて一瞬で消えてしまう花火であるが、平山煙火は海外の万国博覧会で金メダルを受賞し、神奈川県の代表的な製産品の一つとされていた。寄託いただいた資料は、産業資料として大切に保管し、広く公開したい。
貴重な資料を寄託された小野哲男様、哲也様に感謝いたします。また、伊東洋様と櫻井孝様にはご教示を賜りました。お礼申し上げます。
(上田由美)