HOME > 館報「開港のひろば」 > バックナンバー > 第112号
「開港のひろば」第112号
|
開館30周年を迎えるにあたって
横浜開港資料館長 上山和雄
開30周年という節目の年の4月から、高村直助前館長(現、財団法人横浜市ふるさと歴史財団理事長)を引き継いで館長をお引き受けすることになりました。よろしくお願いいたします。
まさに30年前、開館の準備が精力的に行われていた時、私はその要員として、設置準備室に嘱託として勤務いたしました。開館時には大学に籍を移していましたが、それ以降、館の委託研究会に誘われ、また『横浜市史U』の編集委員、文化財保護審議会委員として横浜とは一貫して関係を継続しておりました。くわえて、指定管理者制度の導入に伴って開始された外部評価に際しては、その評価委員に指名され、本館を含む財団各施設からの報告書に目を通し、他の委員と共に、活動ぶりを見てまいりました。
このような点で、本館の直接的関係者以外では、私は、もっとも本館の歴史と現状を承知している人間ではないかと思っております。
ことあらためて申すまでもなく、多くのシステムが大きな変革を求められています。文化財施策もそのひとつです。指定管理者制度の導入や公益法人制度改革は、そのもっとも顕著なあらわれであり、ふるさと歴史財団と各施設においてはその趣旨を積極的に受け止め、時代に即応する組織改革を進め、新たな事業を展開しております。
本館は、戦後の混乱がようやく収まった昭和29年という早い時期に開始され、全国的にも高い評価を受けた『横浜市史』の編さんを基盤に開館されたという歴史を持っています。そのため、注目される多くの資料を持ち、開港や外交・貿易、近代都市の形成に関して優れた研究業績を生み、それを背景に、マスコミでたびたび採りあげられる企画展示をおこなってまいりました。
外部評価委員会では、委員の方々からこうした本館の実績について高い評価をいただく一方、担当者は毎回のように厳しい叱咤もいただきました。その趣旨は、もっと市民のほうを向き、もっと多くの市民が足を運ぶような組織にしていかねばなりませんよ、というメッセージでした。
市の文化財施策を担う組織として、将来の市民である児童・生徒が横浜の成り立ちを理解し、アイデンティティーを持てるよう、学校現場との協力を進めてゆきます。また市民の皆さんに対しては、来館者としてだけでなく、館の事業に積極的に参加していただけるような企画を、今まで以上に展開してゆく所存です。
開館30周年に当たる本年は、次のような企画展と事業を計画しています。
- 企画展
第1回「開館30周年記念 Part 1 たまくすの木が見た横浜の157年−ペリー来航から開港資料館まで」(4月27日〜7月24日)
第2回「広瀬始親写真展 横浜ノスタルジア 特別編 追憶の昭和」(仮称)(7月27日〜10月23日)
第3回「開館30周年記念 Part 2 庶民が記録した横浜の近代−市民提供の史料、一堂に会す」(仮称)(10月26日〜1月29日)
第4回「下岡蓮杖開業150周年 横浜・街の写真館−幕末から昭和初期まで」(仮称)(2月1日〜4月22日) - 開館30周年記念講演会
講師
竹内 誠 (江戸東京博物館長)
宮地正人 (前国立歴史民俗博物館長)
日時 7月9日(土)
午後2時〜4時
場所 横浜市開港記念会館 講堂 - 開館30周年記念セール
6月いっぱい、過去の展示図録や出版物などを格安の価格で販売します。
開館以来30年の間に、多くの方々に来館いただき、本年度中に展示入場者数200万人を達成する予定です。この機会に、改めてご来館ください。