横浜開港資料館

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「開港のひろば」第111号
2011(平成23)年2月2日発行

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資料よもやま話
「萩原文庫」(洋書)の一般公開にあたって

洋書839冊の公開

公開となった「萩原文庫」(洋書)
公開となった「萩原文庫」(洋書)

欧米で刊行された研究書と、伝記や書簡集といった資料集がそのほとんどを占めている。多くは英語図書でドイツ語図書が約30冊、フランス語図書が数冊、ロシア語図書が2冊入っている。ヘボンの和英辞書(1873年版)ともう1冊を除いて稀覯書などはなく、例えばサトウ著作では『英和口語辞典』第4版(1919年刊)『外交実務案内』第2版(1922年刊)が文庫内では古書の部類に入るが、『一外交官の見た明治維新』は後年のリプリント版である。コレクターの要素など微塵も感じられない、正しく研究者の文庫である。

イギリスを中心とする歴史や政治史、思想史、日本近現代史など、歴史家、萩原先生が関心を持った分野の文献ばかりである。先生の書き込みが入っている図書も少なくない。

当然ながら親交があった研究者の著作も収まっている。一例をあげると日本研究のリチャード・ストーリー、思想史家のアイザイア・バーリン、萩原先生が後にその著作『アナキスト』を訳したジェームズ・ジョル、社会学者のロナルド・ドーア、また当時のイギリス労働党党首ヒュー・ゲイツケルといった人びとの著作である。献辞の記された図書からは、萩原先生の知的活動におけるグローバルな交友関係の広さをうかがい知ることができる。

「萩原文庫」(洋書)は閉架図書のため、利用を希望される方は当館閲覧室に備え付けの「萩原延壽文庫 洋書目録」(排列は原則として、著者・書名順)で検索し、閲覧請求されたい。事前手続きは不要である。

末尾になりましたが、萩原家と関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。

(中武香奈美)

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