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「開港のひろば」第107号
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開港150周年
事業を振り返って
横浜開港資料館館長 村直助
昨年は横浜開港150周年を迎え、年初から150周年記念展覧会を次々に開催しました。
まず1月末からは企画展「横浜開港と宣教師 翻訳聖書の誕生」を開催、開港初期の横浜で活躍したヘボン博士をはじめとする宣教師達の足跡を辿り、当館だけが所蔵するネイサン・ブラウン翻訳の3冊の聖書などを紹介し、関連事業としてコンサートを含む「横浜のオルガンと賛美歌」を開催しました。
2月22日には、建築史家藤森照信・作家山崎洋子両氏を講師に開港100日前講演会を横浜市開港記念会館で開きましたが、4月下旬からは「港都横浜の誕生 新発見資料に見る近代化の原点」を開催、開港直後の横浜村を撮影したP・J・ロシエの写真(渡邉戊申株式会社寄付により購入)などが話題を呼びました。関連して5月28日には開港記念会館において講演会「港都横浜の誕生」を開催しました。
5月31日には横浜パシフィコで150周年記念式典が挙行されましたが、臨席された両陛下が午後当館を視察されたことは、大変名誉なことでした。また6月7日には、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のご協力により日本大通りで、開港に因んだコンサートも実施しました。
一方では、横浜市歴史博物館において、同館と共催で5月下旬から8月末にかけて、「絵地図・浮世絵にみる開港場・横浜の風景」「瓦版・絵巻にみるペリー来航と横浜開港」を開催、同館の広いスペースを活用して、多くの館蔵浮世絵や瓦版を展示しました。
7月末からは「横浜中華街150年 落地生根の歳月」を開催、歴史の激動のなかでの中華街の変遷をうかがえる絵葉書・写真のほか、中華街で活躍した中国人3家族の貴重な記録を紹介することができました。この間、中華街発展会との共催で「横浜中華街文化フェア」を開催、当館中庭も燈籠会(ランタンフェスティバル)に参加しました。
10月末からは、開港への影響を受け止めた現市域の村々のリーダー達の多様な動きを辿り、地域活性化の様相を浮き彫りにした「村々の文明開化 港都を支えた200ケ村の名士たち」を開催しました。また、11月1日には横浜郷土史団体連絡協議会主催のシンポジウム「神奈川湊から横浜港へ」を横浜市歴史博物館で催しました。
このように、開港に伴う横浜地域の変容を多面的に明らかにすべく、企画展や関連事業を繰り広げてきましたが、幸いなことに例年を大きく上回る多くの方々に来館していただくことができました。また、予期しないことでしたが、横濱ロータリークラブから当館調査研究員等職員一同が表彰を受けました。地域の方々から高い評価を頂戴するのはなによりも嬉しいことでした。
一方、150周年を記念する出版事業として、当館はじめ横浜市の歴史関連諸施設の運営を担当している横浜市ふるさと歴史財団の調査研究員・学芸員の総力を挙げて、図版を主とした『横浜 歴史と文化』を有隣堂から刊行しましたが、これも幸い好評で迎えられ、版を重ねることができました。
さてご存じの通り、昨年末から本年4月半ば過ぎまで、空調設備更新のため休館を余儀なくされ、皆様方に御迷惑をおかけしております。これから次々に到来するさまざまな150周年を視野に入れつつ、魅力的な企画展や関連事業を展開して行きたいと準備を進めておりますので、再開後には、また多くの方々のご来館をお待ちしております。