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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第97号
2007(平成19)年8月1日発行

表紙画像
企画展
区制80周年記念
昭和の幕開け−大横浜を築いた市長・有吉忠一
企画展
大横浜建設と五区の誕生
展示余話
遊女の手紙と遊郭関係資料
資料よもやま話1
牧内元太郎(まきうちもとたろう)と『横浜毎朝新報』
資料よもやま話2
神奈川台場よもやま話
−残された記録を読む−
資料館だより

新収資料コーナー(5)
大震災直前の横浜市街


関東大震災直前の横浜市街 1923年9月1日
バンクーバー海洋博物館所蔵 Courtesy of Vancouver Maritime Museum

関東大震災直前の横浜市街

  ここで紹介する写真は、関東大地震発生直前の横浜市街をとらえた、極めて稀な一枚である。

  この写真は船上から撮影された。

  1923年9月1日正午前、キャナディアン・パシフィック・メイル社のエンプレス・オブ・オーストラリア号は、バンクーバーにむけて出航するため、大桟橋に停泊していた。

  この写真を撮影した人物は、まもなく離れる横浜の地に名残を惜しみ、エンプレス・オブ・オーストラリア号の船上からシャッターを切ったのだろう。

  眼下の桟橋では日傘をさして立ち話をしたり、人力車が走ったりしている。遠くに目をやれば、中央付近に開港記念横浜会館の塔が見える。その左手の塔は神奈川県庁、さらにその左手の塔がぼやけて写っているのが、横浜税関である。税関の前には上屋の屋根が広がり、その手前の水面に、大桟橋から右にのびている突堤は、象の鼻である。

  写真右手奥には野毛の山が望め、平穏な晩夏の真昼の情景である。しかし、その平穏は関東大地震の発生でやぶられる。11時58分のことである。

  この写真はバンクーバー海洋博物館所蔵のエンプレス・オブ・オーストラリア号のロビンソン船長旧蔵アルバムにおさめられている。このアルバムからの数枚の複製写真と関連資料を、8月1日から10月28日まで「新収資料コーナー」で展示します。

(伊藤泉美)


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