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館報「開港のひろば」バックナンバー


ヨコハマ都市考古学へ

 今回の発見は、ガス灯発祥の地である横浜で、その最初の光を灯したガス会社の遺構が見つかったという点で、きわめて重要だといえる。また出土したガス管から、130年前の鋳鉄管製造技術とその品質、管の接合方法など、技術史的に貴重な情報を引き出すことも可能である。

 一方で、今回のガス管には、都市基盤の歴史的遺構としての側面があることも忘れてはならない。電気・ガス・上下水道といった、いわゆるライフラインの整備が都市形成に不可欠な要素であることは言うまでもないが、これらは単体ではなくシステムとして存在するものであり、しかも通常、地面の下に埋設されているため、モノとしてはきわめて〈見えにくい〉状況にある。

 幸い横浜では、これまでも煉瓦造の下水施設をはじめ、明治期の地下構造物の発掘事例は、数多く知られている。こうした事例を蓄積していくことで、ライフラインという都市を支える「見えないネットワーク」の歴史的変遷が明らかになるといえるだろう。

 都市考古学とは、いささか大げさに聞こえるかもしれないが、普段は目にすることのない地点から都市を読み解くには、横浜ほど事例に富んだ都市はないだろう。

 それは、横浜という都市の新しい語り方、横浜アンダーグラウンド・ヒストリーなのである。

(青木祐介)

「開港のひろば」第76号
2002(平成14)年4月24日発行

企画展
「100年前の旅行アルバム
−外国人が撮ったニッポン−」
企画展ハイライト
展示余話
最後の橘樹郡長・福本柳一
資料よもやま話
「国内最古のガス管」発掘ルポ

ガス管の身元調査
「RL & S」を追って
資料館だより

 〔追記〕今回の調査中に、ガス管出土の新聞記事を見た市内在住のパトリック・ケアリ(Patrick Carey)氏から、「RL & S」社についての情報をご教示いただいた。"The Journal of Gas Lighting, Water, Supply, & Sanitary Improvement"誌の1873年五月6日号に、「RL & S」社の広告が掲載(図2)されており、同社がグラスゴーおよびエジンバラに鋳物工場を、ロンドンに営業所を構えていたことがわかった。同社はガス製造設備から鋳鉄管、そして街灯柱までを幅広く取り扱っており、今回の報告を裏づけるものだといえる。また、当時の住所録から、「RL & S」の「R」がRobertであることもわかった。ケアリ氏には貴重な情報提供を感謝いたします。

 最後に、ガス資料館学芸員高橋豊氏には、現地調査の段階から多くのご教示をいただいた。ここに記して感謝いたします。


図2「RL S」社の広告(P.Carey氏所蔵)
図2





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最終更新日2006年8月20日  Last updated on Aug 20, 2006.
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