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「開港のひろば」第144号
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企画展
カメラが撮らえた横浜
−古写真にみる開港場とその周辺−
平成31年(2019)は安政6年(1859)の横浜開港から160周年にあたります。本展示はこれを記念して、前回の企画展示「浮世絵でめぐる横浜の名所」に引き続き、横浜開港160周年記念の企画展示第二弾として、開港直後から明治初年にかけて横浜へ来た外国人によって撮影された「古写真」により開港場横浜と周辺の風景を紹介します。
初めて横浜の地を訪れた外国の人々がカメラで撮らえた風景には、彼らが興味を持った対象が撮影されていることになります。彼らが最初に興味を持ったのは、自分たちの日常生活の現場であり、一日ごとに変貌していく居留地・開港場の風景だと思われます。
安政6年の開港により、横浜港は国際貿易港となりました。そして、外国の商人たちが居住する東側の外国人居留地と、彼らと交易を行う日本の商人たちが住む西側の日本人居住区が形成されました。それまで東海道神奈川宿に近接した農漁村であった横浜村の地に、新たな都市が建設されたのです。開港場横浜は日に日に発展を遂げていき、変貌するその姿は、日本人だけでなく、外国人にとっても興味深いものであったと思われます。
具体的な写真の構図としては、山手方面から主に居留地への視点、野毛・伊勢山方面からの開港場への視点、といった高所からの一望になります。想像力によって画面を移動させる浮世絵などとは異なり、カメラを固定させて撮影する写真の特徴に対応したものといえるでしょう。
ついで、居留地・開港場の周辺に広がる水田や耕地、丘陵の風景が興味の対象になります。居留地に居住する外国人にとって、開港場の周辺地域は日常的に見聞する範囲であり、本牧・根岸、吉田新田、神奈川宿・神奈川湊・神奈川台場等といった周辺地域の状況を紹介します。
また、日本人たちが遊覧する名所旧跡・寺院神社へも興味を示していきます。具体的には、鎌倉の鶴岡八幡宮・長谷大仏、金沢八景、川崎大師、江の島等になります。
今回の企画展示では、こうした外国人が撮影した古写真を、日本人の絵師が描いた絵地図や鳥瞰図等と対比しながら、その土地の風景や人々をどのように感じたのかを考えてみたいと思います。
(斉藤 司)