横浜開港資料館

HOME > 館報「開港のひろば」 > バックナンバー > 第141号 > 資料よもやま話  『横浜貿易新報』の児童大会〈2〉

館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第141号
2018(平成30)年7月21日発行

表紙画像

資料よもやま話
『横浜貿易新報』の児童大会

2 児童大会

次に、横浜市内の児童を対象とした大会を3つあげる。

①開港記念祝賀会

横浜貿易新報社は、1918年7月1日に、前年開館した横浜開港記念会館において「少年少女祝賀会」を主催した。「限りなき大横浜の発展を表象する、未来の横浜市民たる少年少女を中心とした記念祝賀会」として、開会の挨拶から祝辞、唱歌に至るまで、選抜された少年少女によって進行された。

「開会順序」(6月27日付紙面)には、奏楽、開会の辞、唱歌、対話、祝辞、独唱、開港記念祝歌、市歌合唱と続き、余興には、当時人気を博した東京の三越少年音楽隊の奏楽と曲芸、百面相が行なわれるとある。

入場券は希望者に配布された。6月28日付の紙面に券の配布について掲載されたが、翌日の紙面によればその朝には全て出払ったと書かれている。営利を目的としたものではなく、少年少女の進行による少年少女と保護者のための企画で、評判を得たことがわかる。残念ながら、この年7月から9月までの本紙は欠号で、実際の様子はわからない。

翌1919年は、帝劇洋楽部員の管弦楽、後藤のお伽話「ジョセフ、彦三」を加えて行なわれた(図2)。また、紙面には、参加児童28名の氏名が掲載されたが、当時、児童はもとより保護者にとっても喜ばしい事だったと考えられる。当日の参加者は3,000余名で、盛会だった。

この大会は、以後毎年恒例となっていった。

図2 開港記念児童祝賀大会(『横浜貿易新報』1919年7月1日付)
図2 開港記念児童祝賀大会(『横浜貿易新報』1919年7月1日付)
②新年児童大会

1919年1月19日には、横浜貿易新報社が後援する「新年児童大会」が横浜開港記念会館で催された。入場券は同社が各小学校に配布して、その保護者や生徒に行き渡るようにした。

「大会順序」(1月19日付紙面)には、帝劇洋楽部員による管弦楽、児童による開会の辞、唱歌、口演童話家久留島武彦のお伽話「四ツ目の兵隊」が見られる。横浜英和女学校・フェリス女学校・紅蘭女学校生徒それぞれが、英米仏国歌を斉唱。最後は君が代であった。出演女生徒及び児童の氏名も、新聞に掲載された。

「満場三千の児童が歓声を挙げて大喜び」と翌日の紙面見出しにあり、大会は盛会だったことがわかる。

この大会は、1921年の第3回までは行なわれていた。

③納涼お伽大会

1919年8月24日に、横浜公園運動場で午後5時から8時頃までの予定で納涼お伽大会が行なわれた。

「開会順序」(当日付紙面)には、開会の辞、玉鈴音楽園男子部有志によるヴァイオリン・マンドリン・セロ合奏、後藤によるお伽話「お星様の目」、余興として仕掛花火「花車」などの四種、打揚花火百本と書かれている。

お伽話と弦楽器の演奏や花火を楽しむ大会で、翌年も行なわれた。

≪ 前を読む      続きを読む ≫

このページのトップへ戻る▲