横浜開港資料館

HOME > 館報「開港のひろば」 > バックナンバー > 第137号 企画展  横浜の西洋人社会と日本人-異文化へのとまどい

館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第137号
2017(平成29)年7月20日発行

表紙画像

企画展
横浜の西洋人社会と日本人
―異文化へのとまどい

ドイツ商人の妻が残した貼込帳の一頁
ドイツ商人の妻が残した貼込帳の一頁

幕末に開港した横浜にはイギリスをはじめとする西洋諸国からさまざまな人びとがやって来て、自分たちの社会を築いていきました。

開港直後にやって来たのは外交官や宣教師、そして少数の商人でしたが、間もなく多くの商人とその家族が来浜するようになり、日本で最大の居留地社会が誕生しました。

一方、日本人も近隣だけでなく全国から、この新しいまちに集まり、西洋人相手の商売を始めたり、また外国商館やその家庭で働いたりする者も出てきました。

こうして仕事や日々の暮らしの中で身近な存在となった日本人と、その文化を理解することは切実な問題となっていきましたが、簡単なことではありませんでした。

西洋人たちは、本国の家族や友人への手紙、滞在記・回想録のなかで横浜での暮らし振りやすばらしい日本の風景とともに、日本人の風俗習慣も伝えました。

その日本人像は、横浜(日本)に住んだ時期や、国籍、性別、職業、社会的役割、文化的背景などの違いによって異なっていたり、あるいはそのような違いに関係なく、共通することがらもあったりしました。

このような視点で、展示はつぎの8つのコーナーで構成しました。宣教師の生活と日本人/外交官の日本人像/外交官夫人と日本人/駐屯軍と日本人/ジャーナリストの日本人論・居留外国人論/外国商人と日本人/日本についての四大話題/日本人絵師が描いた西洋人像。

もちろん「異文化へのとまどい」は西洋人ばかりでなく、日本人側にもありましたが、今回は西洋人側の「とまどい」に焦点をあてました。初公開となるドイツ商人の妻が残した貼込帳(2冊)をはじめ、当館が所蔵・保管する西洋人が残した手紙、滞在記・回想録といった記録をもとに、横浜居留地での彼らの生活と、生活を通して彼らが描いたさまざまな日本人像を具体的に紹介します。

(中武香奈美)

上記図版:ドイツ商人の妻が残した貼込帳の一頁 グローサー商会主フリードリッヒと、その妻クララ宛ての趣向を凝らしたカードや席札(パーティーの場などで、名前を書いてその人のすわる席に置く札)が貼られている。 「貼込帳1」から 明治中期 当館蔵

このページのトップへ戻る▲