横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第121号
2013(平成25)年7月13日発行

表紙画像

展示余話
よみがえった一台の周ピアノ

2013年4月24日から7月7日まで開催された企画展「上海と横浜 波濤をこえて」において、話題となった一つが周ピアノだった。周ピアノは明治末から昭和戦前期まで横浜の周興華洋琴専製所で造られたピアノである。そのうちの一台が、展示期間中の5月初旬に横浜に里帰りした。

安城市で初代周ピアノを確認

2009年5月、横浜市歴史博物館刈田均主任学芸員と伊藤が安城市を訪ねた。どこか趣のあるピアノで処分するのは忍びないと、同市在住の矢羽々みどり氏が横浜市歴史博物館にお電話くださったのである。ピアノを拝見したところ、確かに「S.CHEW」の銘のある周ピアノであった。製造番号は108番、周筱生のサイン付の票もあり、上部の蓋をあけると周ピアノのトレードマークも描かれていた。アクションはカナダのOTTO HIGEL社製である。

図1 修理前の周ピアノ 2009年5月撮影
図1 修理前の周ピアノ 2009年5月撮影

図2は1913年版のジャパン・ディレクトリーに掲載された周ピアノの広告であるが、今回の周ピアノはまさしくこの型であった。同型の周ピアノは、現在二台が確認されている。もう一台は名古屋市在住の方がお持ちだったピアノで、現在は周筱生の孫周斐宸氏が所有されている。こちらは製造番号が80番。今回のピアノの製造番号は108番なので、これまで確認された周ピアノの中では三番目に古い。

図2 ジャパン・ディレクトリー 1913年版の周ピアノの広告
図2 ジャパン・ディレクトリー 1913年版の周ピアノの広告

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