横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第116号
2012(平成24)年4月21日発行

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資料よもやま話
アパレル「商標」あれこれ

トレードマーク

「ミツビシ」という名前をきくと、何が思い浮かぶであろうか。企業グループとしての「三菱」、あるいはその個々の事業を思い描くことが多いのではないか。「ミツビシ」はまさに三つの菱形(スリーダイヤ)で構成された商標(トレードマーク)をもち、三菱重工・三菱自動車・三菱商事・三菱地所、などはおなじみの「スリーダイヤ」で統一されている。しかし三菱グルーブでなくても「スリーダイヤ」を使用している会社がある。文房具メーカーの三菱鉛筆である。同じ商標を使っているものの、三菱鉛筆は三菱グループではない。それは、三菱鉛筆の商標登録が、「三菱」グループ系より15年も早い明治36(1903)年になされているからである。当時三菱鉛筆は、社名を「真崎鉛筆製造所」といい、「スリーダイヤ」は三種類の鉛筆を逓信省に納入したことを記念して生まれたデザインであった(『時代を書きすすむ 三菱鉛筆の100年』)。ところが、真崎鉛筆以前にも「スリーダイヤ」の商標を使っていたものがいた。愛知県中島郡起村の織物業・横山弥三郎であり、明治20(1887)年3月3日から少なくとも15年間の専用年限中は使われていたと思われる【図1】。

図1 織物業横山弥三郎の「三菱」商標 1887年3月3日登録
横浜開港資料館
図1 織物業横山弥三郎の「三菱」商標 1887年3月3日登録 横浜開港資料館蔵

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