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閲覧室でご覧になれる資料〈3〉新聞雑誌

【概要】

 1859年7月1日(安政6年6月2日)に開港した横浜には、1899 (明治32) 年に改正条約が発効するまで国内最大の外国人居留地が設けられていた。そのため、横浜は外国との窓口として重要な役割を果たし、国内に向けては海外情報の、外国へは日本の情報の発信地になった。横浜では、こうした情報を伝える媒体として外国人や日本人により、早くから新聞が発行された。居留地では外国人によって雑誌も早くから発行されている。また、貿易港のある都市として、商況を伝える新聞も多い。
 横浜は関東大震災や第二次世界大戦の時の空襲による被害を受けており、加えて市庁舎の移転や昭和30年代の急激な都市化により、歴史資料の散逸が激しい地域であり、新聞・雑誌資料も例外ではない。そこで、当館では原資料だけでなく、国内各地や海外に残された原資料をマイクロフィルムで撮影して収集している。
 当館の新聞・雑誌資料は、市史編集室から引き継いだものと、新たに購入したもの、寄贈を受けたもので構成されている。市史編集室から引き継いだものには幕末から昭和戦前期までの時期に横浜で発行されたものが多く含まれている。特に「五味文庫」の中には、『知玉雑誌』、『横浜英語学校雑誌』、『横浜貿易商青年会会誌』など貴重な雑誌が多い。また、開館準備室の時代から現在に至るまでさまざまな方法で入手したものには、「ドン・ブラウン・コレクション」、「ブルーム・コレクション」があり、貴重な外国語の新聞(The Japan Commercial News,The Japan Herald,The Japan Weekly Mail,The Kobe Chronicleなど)や雑誌(Tobae,The Far East,The Japan Punch,The Chrysanthemum、『日本アジア協会紀要』など)が多く含まれている。このほか諸家文書にも新聞・雑誌類が多数含まれている場合もある。
 新聞は約330タイトルを所蔵しているが、中心となるのは、横浜市内や神奈川県内で発行されたもの、及び横浜との関係の深い地域で発行されたものである。また、横浜の歴史を考える上で重要な事件や事象について報じた新聞については、上記以外の地域で発行されたものであっても収集している。
 雑誌は約3,000タイトルを所蔵しており、うち約900タイトルが、幕末・明治期から昭和戦前期にかけて発行されたものである。これ以外に歴史関係の論文を掲載したもの、歴史資料保存利用機関の発行したもの、地方史研究団体が発行したものなどがあり、これらの雑誌は横浜の歴史を考える上で必要な参考資料として、約2,100タイトルを所蔵している。

【総数】新聞約330タイトル(日本語約270、外国語約60)、雑誌約3,000タイトル(日本語約2,430、外国語約570)。
【年代】1832年〜現在
【閲覧】複製(当館で作成したもの)、復刻版(出版されたもの)、原資料。
当館ではかなりの数の原資料を所蔵しているが、閲覧利用にあたっては、原資料の保存のため、原則として複製や復刻版を提供している。横浜で発行された新聞の複製、復刻版の新聞の大部分は、閲覧室の開架に配架している。
【複写】新聞(原資料)は、すべて別途撮影申請を必要とする。雑誌については、大正期以降に発行されたものは電子式複写が可能である。それ以前に発行されたものについては、別途撮影申請が必要である。ただし、大正期以降に発行されたものであっても保存上の理由などにより電子式複写ができないものもあり、別途撮影申請を必要とする場合もある。なお新聞・雑誌の複製本・復刻版は電子式複写が可能である。
【検索】当館編・刊『横浜開港資料館所蔵新聞・雑誌目録(平成2年12月末現在)』(1990年)。それ以降に収集したものについては、閲覧室に設置した目録(カード)。『ブルーム・コレクション書籍目録』全4巻、「脇沢家寄贈新聞・雑誌について」(『紀要』18)、「佐久間家寄贈新聞・雑誌目録」(『紀要』19)。そのほかの地方文書、個人コレクション中の新聞・雑誌については各々の文庫目録、文書目録を参照すること。
【備考】上田由美「横浜開港資料館所蔵の新聞と雑誌」(『紀要』16)
【主な新聞・雑誌】上記に示した収集方針に基づき、当館所蔵の新聞・雑誌を、1新聞(1)横浜市内・神奈川県内で発行された新聞、(2)横浜との関係が深い地域で発行された新聞、2雑誌(1)横浜市内・神奈川県内で発行された雑誌、(2)横浜との関係が深い地域で発行された雑誌、(3)横浜の歴史を考える上で必要な参考資料としての雑誌に区分し、その概略を紹介する。なお、【年代】欄には閲覧可能な年代を記したが、それぞれのタイトルの欠号や、原紙(原誌)・複製の詳細な所蔵情報については、冊子及びカード目録をご覧いただきたい。

1 新聞

●横浜市内や神奈川県内で発行された新聞

 幕末から外国人居留地では外国人が発行した日本語新聞や外国語新聞が現れ、市街地では日本最初の日本語日刊紙である『横浜毎日新聞』が発行された。さらに、明治20年代以降になると新聞の種類も増え、現在の『神奈川新聞』につながる『横浜貿易新聞』、横浜の貿易商や商社が発行した各種商品の商況を報じる新聞、横浜周辺の農村部で発行された新聞などがあり、さまざまな情報を伝えるようになった。
 一方、神奈川県内の各地(小田原・逗子・横須賀など)でも新聞が発行されており、こうした新聞にも横浜関係の記事が多数掲載されるようになった。残念ながら、現在所蔵している県内各地の新聞の数は多くないが、1893(明治26)年4月に東京都に移管された多摩三郡で発行された新聞も含め、今後収集を進めたい。なお、当館が所蔵する新聞の内、体系的に揃っていて利用が可能なものや珍しいものとしては以下の新聞がある。

日本語新聞

『海外新聞』/『万国新聞紙』/『横浜新報もしほ草』/『渡航新聞のりあひばなし』/『横浜毎日新聞』/『仮名読新聞』/『横浜貿易日報』/『横浜貿易新聞』/『京浜新聞』/『生糸日報』/『美名登新聞』/『横浜新火曜』/『日本実業新聞』/『神奈川新報』/『横浜毎朝新報』/『日米新報』/『花月新聞』/『大綱時報』

外国語新聞

The Japan Herald/The Japan Commercial News/The Japan Times/The Japan Gazette/The Japan Weekly Mail/The Weekly Box of Curios/L’Echo du Japon/Le Courrier du Japon/Deutsche Japan-Post

●横浜との関係が深い地域で発行された新聞

 貿易都市横浜は、首都東京や他の開市・開港場と関係が深く、輸出貿易品の産地などとも交流があった。そのため、当館ではこうした地域で発行された新聞を積極的に収集していくことを計画している。今のところ、日本語の新聞では、東京で発行されたいくつかの新聞の復刻版を中心に所蔵しているだけであるが、今後は他の横浜と関係の深い地域で発行された新聞も収集していく予定である。加えて、横浜の歴史を考える上で重要な新聞として、関東大震災の被害を受けて横浜で新聞が発行されなかった時に各地で発行された新聞を収集している。
 一方、外国語の新聞では、長崎や神戸などの居留地で発行された新聞を収集している。そのほかの開市・開港場で発行されたものについては、今後の収集課題である。また、幕末・明治期に諸外国で発行された新聞も収集している。これらは、貿易などで関係の深かった上海や香港で発行された新聞や、欧米の各都市で発行された日本関係の記事を掲載した絵入新聞などである。

日本語新聞

『中外新聞』/『日新真事誌』/『東京日日新聞』/『朝野新聞』/『郵便報知新聞』/『有喜世新聞』/『いろは新聞』/『時事新報』/『東京朝日新聞』/『峡中新聞』/『書抜新聞』/『富士のほまれ』/関東大震災関係新聞

外国語新聞

The Nagasaki Shipping List and Advertiser/The Hiogo News/The Kobe Chronicle(Weekly ed.)/The China Mail/The North-China Herald/『匯報』/Gleason's Pictorial Drawing-Room Companion/The Illustrated London News/Illustrated News/L’Illustration/Le Monde Illustre

2 雑誌

●横浜市内・神奈川県内で発行された雑誌

 当館が収集する雑誌には、横浜市・神奈川県・政府関係機関などの行政機関が発行した出版物と、各種の民間団体が発行した出版物がある。この内、行政機関が発行したものについては、一般的に行政資料として分類されることが多いが、当館では行政機関が発行したものであっても、定期的に発行されるものについては雑誌として扱っている。また、民間団体が発行した出版物には多種多様なものがあり、必ずしも全ての雑誌を収集しているわけではないが、横浜の歴史を特徴づけるような活動をした団体が発行した雑誌を中心に収集している。
 一方、外国語の雑誌では、居留地で発行された風刺雑誌や日本研究団体の雑誌などが、良く揃っている。
 以下、幕末から明治・大正期にかけて発行されたものをいくつか紹介する。

日本語雑誌

『慈救時報』/『神奈川県商工時報』/『税関月報』/『教会月報』/『常磐』/『神奈川県教育会雑誌』/『横浜英語学校雑誌』/『自治』/『横浜貿易商青年会会誌』/『日本貿易雑誌』/『横浜商業会議所月報』/『実業之横浜』/『神奈川県農会報』/『神奈川県水産会報』/『影』/『知玉叢誌』/『千草叢誌』/『学灯』

外国語雑誌

The Japan Punch/Tobae/The Far East/Transactions of the Asiatic Society of Japan『日本アジア協会紀要』/Mitteilungen der Deutschen Gesellschaft fur Natur-und Volkerkunde Ostasiens/The Chrysanthemum/『清議報』/『新民叢報』

●横浜との関係が深い地域で発行された雑誌

 現在は、東京で発行された雑誌を中心に所蔵している。東京で発行された雑誌にはさまざまな種類のものがあるが、当館では、そのうち横浜の歴史にかかわるものについて収集している。他の横浜と関係の深い地域で発行された雑誌も収集していく予定である。現在所蔵しているものについていくつかあげたい。

日本語雑誌

『近事評論』/『東京経済雑誌』/『英学新誌』/Romaji Zassi/『大日本農会報告』/『大日本蚕糸会報告』/『自由党々報』/『旧幕府』/『団団珍聞』/『風俗画報』/『東京パック』

外国語雑誌

Le Tour du Monde/The Chinese and Japanese Repository of Facts and Events in Science, History, and Art, Relating to Eastern Asia/The Far East/The Hansei Zassi/The Japan Evangelist/Die Wahrheit/Melanges/The Japan Magazine /Musasino/『華商連合報』/『上海総商会月報』/『勧業会旬報』

●横浜の歴史を考える上で必要な参考資料としての雑誌

 横浜市内で発行された郷土史誌としては、『郷土神奈川』、『郷土よこはま』、『神奈川県史研究』などがあり、神奈川県を対象としたものとしては、『神奈川地域史研究』、『教育と文化』などがあげられる。市外の市町村については、自治体史の編纂室が発行した雑誌、文書館・博物館・図書館の館報や紀要、神奈川県内の郷土史団体が発行した雑誌も所蔵している。
 歴史関係の学術雑誌としては、『日本史研究』、『日本歴史』、『歴史学研究』、『歴史学評論』、『地方史研究』などを所蔵している。
 外国語雑誌としては、東京のSophia Universityが年4回発行している Monumenta Nipponicaや、京都の日本文化研究センターが発行しているJapan Reviewなど、日本関係の研究論文を掲載する雑誌を所蔵している。


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