横浜開港資料館

HOME > 館報「開港のひろば」 > バックナンバー > 第128号

館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第128号
2015(平成27)年4月22日発行

表紙画像

特別資料コーナー
横浜の歴史の目撃者 - たまくす

6月2日の開港記念日は横浜の歴史にとって大切な記念日のひとつだ。そして当館中庭に繁るたまくすの木は、開港の前提となった開国の由来を伝える市の歴史史跡となっている。1954年3月31日(安政元年3月3日)、この木のそばでアメリカ合衆国代表のペリーと江戸幕府が日米和親条約を締結し、日本は開国した。当時、ここには水神社があり、たまくすの繁る鎮守の森があった。

5年後の1859年7月1日(安政6年6月2日)、今度はハリスとの間で通商条約が結ばれて横浜港が開港し、貿易がはじまった。

開港すると日本国内からだけでなく海外からも多数の人々が横浜にやって来た。幕府は関内の東半分と山手地区を外国人に貸し与えた。外国人居留地の誕生である。

たまくすの立つあたりはイギリス領事館の一部となることが決まり、水神社は洲干弁天社境内(現中区弁天通5丁目・南仲通5丁目を中心とするあたり)へ移転し、明治初年にイギリス領事館が建てられた。

左上の図、横浜絵「横浜海岸異人館之図」(部分)は、できあがったばかりの領事館とたまくすを描いている。海岸通りと日本大通りが交差するあたり、現在の象の鼻パークからとらえた構図である。馬車が海岸通りの領事館正門前を通行しているのが見え、すぐ上にたまくすが描かれている。

開国・開港の目撃者となったたまくすは横浜の発展を見つづけ、今年で161年になる。大火や関東大震災にも遭ったが、その度によみがえった。88年には市の地域史跡の指定を受けた。この記念の地に当開港資料館が開館したのは、81(昭和56)年6月2日のことであり今年で34年となる。

当館特別資料コーナーでは四月から、この横浜絵「横浜海岸異人館之図」の他たまくすを描いた横浜絵や写真など5点を展示している。展示は5月6日(水・祝日)で終了するが、中庭に堂々と立つたまくすにはいつでも会える。開港記念日を迎えるこの時期に、ぜひ会いに来てほしい。

(中武香奈美)

横浜絵に描かれた明治初期のたまくす 3代広重画 明治3(1870)年 当館蔵
横浜絵に描かれた明治初期のたまくす 3代広重画 明治3(1870)年 当館蔵

このページのトップへ戻る▲