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「開港のひろば」第123号
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資料よもやま話
周ピアノに出会った人びと
1918年の製造
平井家の周ピアノには、内部に二つの票が貼られている。一つには「李佐衡調検 No.142 7.12.27」、もう一つには「周興華 周筱生検査 No.142 30/12/18」(図3)と記されている。これにより、製造番号は142番で、大正7年(1918)12月27日に李佐衡(周筱生の甥で後に李兄弟ピアノ製作所を設立)が調律・点検し、同月30日に周筱生が検査したものと判明した。
またこの一台には足踏みペダルが三つあることが注目される。右は強音、左は弱音、中央は消音の機能をもつ。これまで調査したS.CHEWとS.CHEW & SON、いずれの周ピアノでも、ペダルは二つであり、中央のペダルの消音機能については、手動装置を備えているものもあったが、ペダルと連結しているのは、現在のところこの一台だけだ。
篤さんの記憶によれば、ピアノを譲られて以来大きな修理はしておらず、チューニングピン、ハンマー等も当初の部品である。製造時のままの姿をとどめる、貴重な一台である。