横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第145号
2019(令和元)年7月20日発行

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展示余話
ロシエ「神奈川湊」再論

『開港のひろば』144号では、本年度第一回企画展示「カメラが撮らえた横浜−古写真にみる開港場とその周辺−」に関連して、「古写真にみる神奈川宿・神奈川湊」と題して、東海道神奈川宿と神奈川湊に関連するロシエ撮影の古写真「神奈川宿」「神奈川湊」を題材に若干の検討を行った。ここでは後者の「神奈川湊」について若干の補足を行っておきたい。

ロシエ撮影の古写真「神奈川湊」(図版1)は、東海道神奈川宿の内、西側に位置する青木町の洲崎明神前の東海道とその沖合に停泊する廻船を撮影したものであるが、この写真からは若干の違和感を受ける。すなわち船底が見える程の干潮時において、数艘の廻船がなぜここまで陸地に近接した場所にいるのかということである。

図版1 ロシエ「神奈川湊」 当館所蔵
図版1 ロシエ「神奈川湊」 当館所蔵

廻船は本来、十分な水深のある泊地に停泊し、そこからハシケを利用して荷を揚げるはずであるが、この写真ではできる限り陸地に接近しようとする意思が感じられる。

以下、この点について考えてみたい。

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