横浜開港資料館

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館報「開港のひろば」バックナンバー

「開港のひろば」第130号
2015(平成27)年9月30日発行

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特別資料コーナー
横浜カントリー&アスレティック・クラブ(YC&AC)のスポーツ・シーン

スポーツのシーズンを迎えて、心地よい汗をかいている人も多いのではないだろうか。

市内中区矢口台に古くから広大な敷地を構える会員制のスポーツ社交クラブがある。YC&AC(Yokohama Country & Athletic Club)である。同クラブは1868(明治元)年、横浜に住む欧米系の外国人居留民が設立した横浜クリケット・クラブがその始まりとされる。その後、いくつかのスポーツクラブと合併し拡大していった。所在地は最初は横浜公園だったが、1912(大正元)年に現在の矢口台に移転し、名称も現在のものに変更した。

同クラブは、アジア太平洋戦争中と戦後の一時期をのぞいて今日まで活動を継続してきた、横浜の外国人社会において最も伝統のある社交クラブである。2014年には公益社団法人化され、2018年には設立150周年を迎える。

高台のグラウンドからは、遠く根岸湾が望める。このスポーツに最適の場所で、イギリス人やアメリカ人が中心となって、クリケットやラグビー、サッカー、テニス、ローンボウル、水泳、また室内ではビリヤードやボーリングなどがおこなわれ、スポーツの合間や終了後にはクラブ内のレストランやバーで親睦を深めあってきた。

YC&ACと神戸のスポーツクラブとの定期親善試合のひとこま――野球の試合風景 大正時代か 当館所蔵
YC&ACと神戸のスポーツクラブとの定期親善試合のひとこま――野球の試合風景 大正時代か 当館所蔵

10月10日(土)から11月1日(日)まで特別資料コーナーで、戦前からYC&ACで繰り広げられてきたさまざまなスポーツ・シーンやスポーツの後に開かれた晩餐会のようすを、写真や晩餐会のメニューなどで紹介する。当館所蔵資料だけでなく、YC&ACのご協力をえて同クラブ所蔵資料も展示する。

本国から遠く離れた横浜で、スポーツを通して自分たちの文化を護ると同時に、さまざまな国籍の隣人たちと家族ぐるみで親睦を深める努力を重ねてきた欧米系外国人社会の歩みの一端を紹介したい。

(中武香奈美)

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